内容説明
アメリカに生まれた少年・セドリックは、大好きな母や周囲の人々の細やかな愛情に包まれ幸せに暮らしていたが、名も知らぬ貴族の祖父の跡継ぎになるためイギリスへ渡ることとなった。祖父は意地悪で傲慢で、アメリカという国を嫌っていたが、セドリックの純真さに心動かされ、次第に変化していく。だがそこへ真の跡取りを名乗る者が現れて――。川端康成の名訳でよみがえる児童文学の傑作。(解説・鴻巣友希子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アン
115
幼い頃に父を亡くしたアメリカ生まれのセドリックは、愛情深い大好きな母のもとを離れ、貴族の祖父の跡継ぎになるためイギリスへ。気品があり快活なセドリックは無邪気で人を疑うことをせず、相手の気持ちを察する優しい心の持ち主。厳格で癇癪持ちの伯爵が純粋なセドリックに心から信頼され、これまでの自分を振り返り、次第に頑なな心が解きほぐされる姿には笑みがこぼれ、柔らかな香りに満たされるよう。両親の気高く慈愛に溢れた眼差しを受け継いでいるのでしょうね。幸せを願って人を愛し、愛されることの尊さを届けてくれる心洗われる物語。 2021/11/09
chimako
102
本当にとても楽しい読書だった。アメリカの子どものために書かれた物語を日本の子どもたちのために翻訳し出版された名作。解説を読むと翻訳は川端康成と文学者であり編集者 野上彰の共訳。それを底本とし易しく書き直された作品ということらしい。この作品が何人もの文学者の頭と手を通り、今ここにあることが素晴らしい。昭和のちょうど半ばに生まれた読者には言葉づかいも出てくる単語も馴染み深く、丁寧語にも敬語にも違和感がない。ありがたい時代に育ったとつくづく思う。下品が売りになる世の中に嫌気がさしている日々の一服の清涼剤。2020/09/02
夜長月🌙@新潮部
78
純真無垢なセドリックは頑迷極まりないドリンコート伯爵の心を溶かしていきます。純粋な心を持つだけで何の力もないセドリックですが、伯爵を通して「正義」を為していくことに我々は喜びを感じます。変わっていく伯爵におかしみも感じますが、セドリックに世代が変わるのを待たずして世の中が光にあふれていくのに心安らぐのでした。2020/07/25
榊原 香織
77
なんと翻訳は川端康成 でも後書き見たら、翻訳は大半が編集者だそうで、じゃあ名義貸し? 内容はやはり面白い。落ち込んでる時に読むと明るくなって運気があがるかも2022/09/10
アクビちゃん@新潮部😻
66
【2020新潮文庫100】小公子、実は初読みです(*^^*) アメリカに暮らす、まつ毛が長く茶色の目に柔らかい細い金髪、人懐っこく人を疑う事を知らず純真なセドリック♡ 貴族の跡継ぎとなり大西洋を渡り、イギリスへ。読み勧めるうちに、私もセドリックの事が大好きになり、この先 セドリックに不幸がありませんように!と願うばかりでした。今、子育て中の私は、エロル夫人のように優雅に慈悲深く子育てしよう!と反省。やはり、この時代の読み物は、好き♡とても、良かったので、小公女と秘密の花園も読んでみよう〜❣ 2020/08/24