地獄は克服できる

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地獄は克服できる

  • ISBN:9784794224552

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内容説明

ヘッセは少年時代にエリート神学校から逃げ出して以来、何度も挫折を繰り返して、50、60歳になってようやく落ち着いた生活をスイス南部の家で送った。二度の離婚、家族の死や病気、二度の世界大戦をはさんで社会も大荒れだった。
その中で心身ともに疲れ果て何度も自殺願望を抱き、うつ病に悩まされた。
本書はその間に書き記したこうした心の悩みからの脱出法や苦しみとの付き合い方などについてのエッセイや断章をまとめた本。
これらはストレスに悩む現代人のための妙薬ともなるだろう。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ホシ

25
ヘッセは何作か読んだことがありますが、難解でいまいち咀嚼しきれませんでした。しかし、本書でぐっとヘッセが身近になったように感じます。多分、翻訳が良いのだと思う。東洋思想にも造詣が深ったヘッセ。彼の思想は我々日本人にも馴染みやすい部分があると思います。読みながら一休宗純の「有漏路より無漏路へ帰る一休 雨ふらば降れ風ふかば吹け」を思い出しました。人生のトンネルに差し掛かった時、このトンネルはいつまで続くのかと不安になることがあります。しかし、「トンネルを受け入れること」がトンネルの出口なのかもしれません。2021/01/09

テツ

23
「あなたの苦しみを愛しなさい。それに抵抗しないこと。それから逃げないこと。苦しいのはあなたが逃げているからです。それだけです」というヘッセの言葉があるけれど、人生も世界も自分がそれとどう対峙するかという覚悟一つで、天国にも地獄にも簡単に変質してしまう。自らの精神の在り方で様変わりする世界の在り方は、日本(というか東洋か)的な感覚からもとても理解しやすく受け入れやすい。世界なんて自分の意志だけで簡単に創り変えることができる。自縄自縛も自分にかけた呪いも、消すことができる。ああ。本当に世界は美しい。2022/07/18

Kiro

14
購入してから、ゆっくり読んだ。一気に読もうと思っても読めなかった。時に数行、数ページでおなかがいっぱいになることもあった。そんな本と出逢えたことが、幸せだなと途中から感じて読み進めていった。アートと孤独はやはり切り離せないものであって、孤独によって研ぎ澄まされた心から生み出される何かが、僕の心を揺さぶるのかな、、と思う。ユーモアすらも、孤独の産物だと書いてあったことに、新鮮さを覚えた。2020/08/19

大楠公

9
ヘッセの小説を一通り読んだ後に読みました。小説ではヘッセの文章の美しさに何度も感じ入りましたが、この本はエッセイを集めたもので、小説の根底となる思想が散りばめられている気がしました。ヘッセ自身がどれ程の苦労を体験したのか、そこからどうやって乗り越えたのかを教えてもらいました。ほぼ全ての事が、すーっと腹に落ちました。この本に出会えて感謝です。2023/03/14

ミー子

8
大好きなヘルマン・ヘッセによるエッセイや日記、詩、雑文を集めた本。やっぱり私はヘルマン・ヘッセの感性が好きだし、自分と同じ種類の人だなぁと感じる。この社会で世俗で、組織に属して働くことがとても苦しく、多分他の人より圧倒的にかつ継続的に苦しく、そして、自然美に対する感性や人生の真の喜びを持続させるには隠棲するしかない的なところが、私と同じで、その心情を深くありのままに綴った文章に、癒される。2022/01/08

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