内容説明
お不動さんの参道にあるうなぎ屋「まつむら」。そこにはとある一人の男に縁深い、五人の女たちが集う。売れない俳優と同棲する女、大学教授と見合いをする女、ベストセラーを夢見る女、「太るから」うなぎが嫌いな女――。人生の決断を迫られた彼女たちのそばにはいつもうなぎがあった。甘くてしょっぱい、うなぎのように濃厚な連作5編を収録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
153
権藤佑市。同性から見てもダメ男だな。女にだらしなくて、言いたいこともちゃんと言えず、シャキッとすれよと怒りが沸々。と、思ってた。ところが、ラストに進むに連れて、佑市の見方が変わってしまった。人にはいろいろあるんだね。でも、言うべきことは言わないと、そこには誤解しか生まない。佑市に縁深い、五人の女性達が、うなぎ屋“まつむら”で人生の岐路という名のドラマに立つ。それは、うなぎの魅力、いや佑市のせいなのかはわからない。読んでいると、当然、うなぎが食べたくなる。でも、俺はうなぎより寿司だな(笑)。2024/05/08
fwhd8325
69
うなぎを目の前にすると、本当に幸せな気持ちになります。うなぎは落語のネタにも使われていますので、古くから愛されているごちそうだと思います。先日、博多でうなぎをいただく機会がありましたが、関東のうなぎとは違った調理方法で、これは新鮮で大変美味しくいただきました。人生も様々な方向性があるように、前を向いていきましょう。2021/04/13
そら
55
期待を裏切られた!久々に味わう展開に、もう一度最初から読み直す。うなぎ屋「まつむら」を訪ねる人々の連結短編集。典型的なダメ男の祐市と、リンクする女性たち。タイトルに「女子」とあるから若い女性たちを想像したが、一章二章に登場するのはちょっと人生に躓いた四十女たち。なーんだ、人生をやり直そうとするちょっといい話系なのか、と思いながら読み進めると、まさかの展開が。そして、うなぎは食べようと決意をし、大人の心の隙間を埋めるものとの台詞に胸が熱くなる。良い意味で期待を裏切る良書でした!私もご褒美飯をたべよう。2021/05/08
おいしゃん
42
そこまでうなぎが大好きなわけではないが、読み終わるとやはり「うなぎ屋のうなぎ」を食べに行きたくなった。 短編集だが、話を重ねるにつれ、主人公の色々な姿が明らかになり、男前に思えてくると同時に、近くにいる人の大事さを感じさせてくれる。 モデルになったのは目黒の「にしむら」のようだが、上うな重は3,900円。コロナが明けたら、自分へのご褒美のときにでも、ぜひ伺いたい。2021/05/26
のんちゃん
30
舞台は、とあるお不動様の参道にあるうなぎ屋。そこに1組の男女が現れる。男は権藤佑市。四十過ぎの売れない役者。その彼と縁のある女性5人のうなぎ屋での物語。私もうなぎは地球最後の日が訪れるなら、その晩餐に食べたい物リストのベスト3に入る。祐市の母曰くうなぎというものは「心をいっぱいにしてくれるごちそう」まさにその通りでうなぎはハレの日、又は辛い日のご馳走だ。そんなうなぎを前にした女達の物語。この作品、本当にうなぎの様に味わい深く、私の読書人生ベスト10に入る位好きな作品だ。加藤元さん、やっぱり好き。2020/09/12




