内容説明
もし東ドイツが市民の抗議デモへの武力鎮圧を強行していたならば、もし西ドイツが東ドイツの編入を拒否していたならば、もし西側諸国がゴルバチョフの「ヨーロッパの共通の家」構想を受け容れていたならば、ヨーロッパにはいかなる未来が-。やがてソ連崩壊の屈辱を味わったプーチンは何を心に誓ったのか。戦後の世界秩序をめぐる大国間の覇権争いを鮮やかに描き出し、数々の学術賞に輝いた歴史ノンフィクション、遂に刊行。 第2刷訂正版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紙狸
5
翻訳は2019年刊。原著初版は2009年刊で、2014年に改訂。「ベルリンの壁」が1989年に崩壊し、東西ドイツは1990年に統一する。統一を巡る国際関係を詳細にあとづける。「壁」崩壊後には東西ドイツ・欧州の今後について様々な構想があった。現実になったのは、西ドイツ首相コール主導の「プレハブ」式だった。出来合いの材料を組み立てたという意味だ。NATO、EC、市場経済、西独憲法といった、西側で実証済みの組織や規範が東側に拡大された。米国大統領だったブッシュが認めたことも大きい。「プレハブ」という命名が秀逸。2019/10/07
K
0
上巻から読んでくると史料的な記述が続き(ここまで纏めあげるのはそれはそれでもちろんすごい)疲れましたが…西ドイツの通貨、憲法、同盟などを東に持ち込むフォーマットを、様々なパーツを突貫工事で組み合わせる「プレハブ」型と呼んでいる。時間的制約の中、国内で権勢を失ったゴルバチョフの国際舞台での発言権も弱まったのにも乗じて、「自分たちのことは自分たちで決め」たかったドイツが現実的に選べたのは吸収合併みたいな道だったのか。いま旧東独を中心にAfDが支持を拡大しているのにも繋がっているのかな…2019/11/08
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