内容説明
明治12年、大阪船場、薬問屋が並ぶ道修町に近い釣鐘町で一人の男児が産声を上げた。両替商、鳥井忠兵衛の次男信治郎、後に日本初の国産ウイスキーを作り、今や日本を代表する企業サントリーの創業者の誕生であった。丁稚奉公先の小西儀助商店では薬以外にウイスキーも輸入して扱っていたが、儀助は国産の葡萄酒造りを考えていた。信治郎は夜毎、儀助と葡萄酒造りに励んだ――。
目次
序章
第一章 鳥井家の次男坊
第二章 丁稚奉公
第三章 ハイカラ修行
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aya Murakami
97
ナツイチ2020 マッサンとリタでもちょろっと出てきたサントリーの話。 丁稚の話は現在の労働環境にも通じる話であり妙に私の過去の苦い記憶とリンクします。作中にあるとおり本当に怖いのは使用者にいじめられることではなく先輩丁稚にいじめられることなのです。いつの世も人間は変わらないようですが理由は何なのでしょう?使用者よりも労働者同士のほうがイジワルな関係になってしまうのは?2020/10/02
さち@毎日に感謝♪
25
名前は知っていたのですが、初読み作家さんです。国産の葡萄酒を造る事を夢見ていた信治郎が、新しい商いを始めようと一生懸命な姿に応援したくなりました。下巻も楽しみです。2020/06/30
金吾
24
サントリー創業者の立志伝です。前向きなバイタリティー、着想、人柄等全部すごいです。当時の商人の世界が伝わる丁稚時代が面白かったです。2024/01/17
ぬぬ
14
私達が当たり前に飲んでいる、ビールやウイスキーやワイン。「おいしい」と思えるその前にはただならぬ挑戦と挫折、異文化に対する理解を深め広めるだけでなく、相手に自国への理解をさせてしまう努力の強者が現れた。鳥井信治郎、後のサントリーの創業者である。彼が鳥井家の次男に生まれ、薬種門屋へ丁稚奉公に行かなければ、今頃風呂上がりの一杯、会社の飲み会にオンライン飲み会etc…はなかったかもしれない…。これは琥珀の夢を追った創業者の鳥井信治郎がサントリーを「やってみなはれ」の精神で世界的企業にまで成長させた物語である。2020/08/28
スプリント
10
丁稚奉公時代の話が面白い。 唐突に奉公先が変わってしまい戸惑いますが下巻でそのあたり補足されるのでしょうか。 苦味のあるお酒は日本酒にも焼酎にもないので葡萄酒が薬として扱われていたことも納得できますね。2020/08/03