内容説明
日米開戦前夜。平均年齢三十三歳、全国各地から集められた若手エリート集団が出した結論は「日本必敗」。それでも日本が開戦へと突き進んだのはなぜか。客観的な分析を無視して無謀な戦争に突入したプロセスを描き、日本的組織の構造的欠陥を暴く。
石破茂氏との対談、新版あとがきを収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
南北
105
1941年8月に日本は「敗戦」していた。近衛内閣のもとで創設された「総力戦研究所」には30代の官僚や民間から優秀な人物が集められ、模擬内閣を作り、「机上演習」により、日本の将来を予測した結果、開戦から1~2年後には敗戦を迎えるとの結論が出された。戦前から戦後の歴史をたどることでその予測が裏付けられていく様子が見事だと感じた。「総力戦研究所」という組織だけを作って満足してしまったのも問題があるが、いわゆる「お役所仕事」に終始してしまった政治にも大きな問題があるように思う。 2023/12/22
rico
87
勝ち目のない戦いへの圧が強まる中、東條はわずかな希望を抱いていたのかもしれない。総力戦研究所に参集したエリートたちが何らかの「勝ち筋」を見つけてくれることを。しかし彼らが「くもりなき目」で事実に基づいて導きだした結論は、「日本必敗」。それを「机上の空論」と切り捨てず、若き知性による貴重な知見として戦略を見直していれば・・・。一度特定の方向へ進み始めたものは、どれだけ不都合な事実が明らかになろうとも、止まらない。滞りなくことを運ぶ人材は豊富でも、軍部の圧力下で真に決断できるリーダーはいなかったということ。2025/08/29
さぜん
59
戦後になって明らかになった総力戦研究所の存在。全国各地から集められた若きエリート達が、日米開戦前に出した日本必敗の結論は黙殺され、無謀な戦争に突入していった。客観的、合理的な判断の指針となるデータを、いとも簡単に無視して勢いと気持ちを優先する指導者達。データを無視し「空気」で決める。まさに今の政権がやっている事と同じ。国民を説得する根拠もデータも出さずに、推し進めている現状が重なり、この国の危うさを感じずにはいられない。歴史は様々な視点で見る事で、違う景色が見えてくる。まだまだ、学ぶべきことは多々ある。2026/08/10
エジー@中小企業診断士
41
日本では物事は「空気」で決まる。昭和16年4月、ある秘められた国家目的のために全国各地から「最良にして最も聡明な逸材(BEST&BRIGHTEST)、平均年齢33歳の研究生36人を集めた「総力戦研究所」。若きエリートたちが模擬内閣を組閣し、机上演習を重ねて出した結論は「日米開戦日本必敗」。8月27日、28日に首相官邸大広間で第三次近衛内閣にこの結論は研究発表された。東條英機陸軍大臣は狼狽しながら机上演習と実際の戦争は違うと言いながら他言無用を命じる。その東條は10/17に組閣の大命降下。12/8開戦する。2024/06/27
てつのすけ
37
第二次世界大戦について、それなりに知っているつもりであったが、「総力戦研究所」を初めて知った。しかも、この研究所が出した敗戦という結論を、なぜ、政策に活かさなかったのか、甚だ疑問である。数字等のデータよりも、日本人特有の空気を優先した結果であったとは!現代に戻ると、敗戦という歴史の教訓が何も活かされていないのは、残念でならない。2021/04/26




