内容説明
美しい妻は絶対的な存在。楚々とした義妹は代表作の原点。そして義息の若い嫁は、新たな刺激を与えてくれる……。大作家をとりまく魅惑的な三人の女たち。嫉妬と葛藤が渦巻くなか、翻弄される男の目に映っているものは――。文豪「谷崎潤一郎」を題材に、桐野夏生が織りなす物語世界から炙り出される人間たちの「業」と「欲」。<解説>千葉俊二
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NADIA
57
谷崎潤一郎『細雪』のヒロイン雪子のモデルとなった田邊重子の視点で、谷崎が亡くなるまでの十数年が描かれている。嫁姑の嫉妬がぶつかる俗な場面であっても、京ことばでの会話が上品でつい聞きほれてしまう。こんな調子で「ぶぶ漬けでもどうどす」とか言われたら喜んでしまいそうだ(笑) 『細雪』は未読だがそれなりに面白く読めたので、既読の方にはお勧めできる。桐野夏生っぽくはないけど。2024/12/10
カブ
54
文豪「谷崎潤一郎」をとりまく3人の女性の嫉妬と葛藤。事実なのか?!と思わせる迫力で読ませていただいた。「細雪」を読んだのは遠い昔。また、谷崎作品を読んでみたくなった。2020/08/01
ピース
46
谷崎潤一郎の物語。これはどこまでが事実なんだろうか。自分の周りには女性ばかり置いて自分の王国を作る。ちょっと今では考えられないことだけど…谷崎の嫁の松子とその妹の重子vs重子の息子の嫁の千萬子の覇権争いは何とも言えないがおもしろくもあった。谷崎亡き後彼女らはどう生きたんだろう。そちらも気になった。2021/02/06
えみ
46
危険極まりない。艶めかしい女たちを…女たちの精神を…己の小説の中に囲い込んだ罪深さ。その罪深くも才能溢れ、常に愛された男とは、文豪・谷崎潤一郎その人である。彼の心をひとりの女が手に入れるなど、砂上の楼閣である。芸術的刺激を常に求め、周囲から男を排除し、自分の気に入った女性だけを庇護のもとに置き、家族を再編、構築していた絶対君主。そして家族王国の暴君となった谷崎潤一郎に愛玩された女たちの愛と嫉妬、困惑や葛藤。虚構世界と綯交ぜになりながら揺蕩う桐野夏生が描く谷崎潤一郎の世界。妙なリアルが胸をざわつかせる一冊。2020/07/07
たぬ
34
☆4 谷崎潤一郎は『痴人の愛』と大正時代に書かれた短編集しか読んでないのだけど、いやこれは危険なお人ですわ。なんというか女性陣のいざこざを斜め上から見下ろして楽しんでいる印象。その好き放題が祟って晩年はずっと慕ってくれていた義妹に文字通り足蹴にされてるけど。それにしても家柄は◎でも素行はキングオブクズな総入れ歯中年と結婚しなきゃいけないなんて本当悲劇。2022/11/16
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