空腹ねずみと満腹ねずみ 下

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空腹ねずみと満腹ねずみ 下

  • ISBN:9784309207995

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内容説明

『帰ってきたヒトラー』の著者が6年の沈黙を破ってついに発表した小説。数年後の欧州を舞台に、押し寄せる難民と国境を閉じるドイツ。何が、なぜ起こるのか、満を持して問う問題作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

192
上・下巻、700頁弱、完読しました。本書は、詩人ハイネの作品から引用したタイトル、痛烈な批判、近未来難民社会風刺小説でした。難民問題は、大国の後進国に対する搾取、貧富の差、戦争等に起因するものだと考えます。先進国が勝手な自国のナショナリズムを主張している限り、絶対解決しません。理想論だとは思いますが、世界連邦の創設および富の適正な再分配を希望します。 しかし難民に不馴れな日本に40万人が押し寄せたら大パニックになるでしょうね(苦笑) http://web.kawade.co.jp/bungei/3595/2020/07/26

55
やっぱりそうなるか!と思えるラスト。ハッピーエンドは難しかったか⁈重たい社会派小説でした2021/01/10

ヘラジカ

50
ドイツまで整然と着実に歩みを進めていく難民の膨大な行列は、ヨルムンガンドや出エジプト記といった神話的モチーフを想起させる。当初抱いていたコミカルなイメージは雲散霧消し、ドイツ世論が緊迫感を強めていくにつれ、小説全体のトーンも重くシリアスになっていく。待ち受ける結末がどんなものか気になって一息に読んだが、思った以上に壮絶な展開に少しばかり呆然としてしまった。あり得るシナリオなのかもしれない。コメディどころか暗い気分になる社会派小説だった。作者前作も時間があるときにいずれ。2020/06/09

星落秋風五丈原

24
いやなんとも陰惨なラストになってしまった。2020/08/18

はる

9
難民問題がテーマのこの作品。難民に当たり障りなく対応したい国とそこに資金を拠出する最大国家ドイツ、メディア業界、良心的に捉える者と正反対に考える者の国境をめぐる行動が欧州に衝撃的な結末を与える。コロナに隠れて見えないけれど現代社会の近未来的病理かもしれない。主人公の一人がNATO加盟国に到着し呟いた。「トルコの農民は何故もう一頭(余計に)飼わないのか?何故この国は自分の国より暮らし向きがいいのか?でも内戦やクーデタや飢饉がなければ二人で一頭の牛を飼うだけで食べて行けるのかもしれない。」 2020/07/04

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