悪党・ヤクザ・ナショナリスト 近代日本の暴力政治

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悪党・ヤクザ・ナショナリスト 近代日本の暴力政治

  • ISBN:9784022630971

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内容説明

日本の近代は暴力で彩られている。暴漢やヤクザなどの「暴力専門家」は歴史上の事件や騒動の主役だった。暴力がいかに民主主義を推進し、脅かしたのか。民主主義がいかに暴力を生み出し、抑止したのか。気鋭の歴史学者が描く驚愕の裏面史。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

樋口佳之

67
本書の魅力は、「暴力専門家」と政治家との密接な関係という、日本政治の「裏面史」を通史的に描いたことにあるのではない。そうではなく、両者の関係が、戦前から戦後のある段階まで、公然としたものであり、組織的で、制度的であったことを明らかにしたことにある。(解説  藤野裕子)/ 学校の教科書ではまず記述されないし、一般の書籍でも紹介されないけれども、見逃せないお話だったと思います。首相経験者の多くが暗殺されてしまうという事態の底流はここにあるのだろうと読みました。2022/03/25

さすらいの雑魚

37
日本近現代史のB面を炙りだす。類書に宮崎学(突破者♪)の著作があった気がしますが、かなりエンタメな方向性だっなはず。本作はゴリゴリの研究者の研究成果。維新志士のテロから明治の自由民権運動の博徒、大正デモクラシーから昭和初期に猖獗を極めた壮士・院外団の政治的暴力、戦後の政治的暴力の衰退と金権政治の勃興まで。キッチリ通史に仕立ててる。権威主義的な明治政府に対抗した民権派の暴力が、議会に取り込まれ、政党の政争の為の暴力装置に変質し、暴力に拠る政党は民衆の信頼を失い、政党政治の崩壊を引き起こす流れは、本書の白眉。2023/05/29

seki

21
日本の近代化過程での暴力勢力の存在について、詳らかにする書。本書を読むと、国会での野次が何故なくならないのかが、なんとなく分かる。さて、現代民主主義では、暴力は抑えられているか?否、一部の人々によりSNSという安価な手段が物理的暴力に代わりつつある。表現の自由か?言葉の暴力か?その線引きは有権者の意識次第なのかもしれない。2021/01/06

Toska

17
博徒、志士、壮士から大陸浪人に至るまで、近代日本の伴走者であった「暴力専門家」の軌跡を追う。決して日本裏面史ではなく、政治と暴力とのつながりはある時期まで公然たるものだった。暴力は体制・反体制のいずれとも結びつく可能性を持つが、日本では壮士を使いこなした政党政治以降、多くが権力の側に取り込まれたという印象。産業報国のロジックの下、企業の手先となって労働運動潰しに狂奔した戦前の右翼の姿が何ともおぞましい。2023/09/26

しんい

14
日系と思われるアメリカ人マルコ・シナワ教授による、幕末から政治の季節が終わる70年代に至るまでの日本政治における「暴力専門家」の研究分析。目線が新鮮。過去の読書で接した(多くは男性の)日本人が書いたこの分野のものは関係者による述懐か、時代背景とともに個別の人物(頭山満など)の思想や行状を描いた読み物がほとんどだったが、本書は日本政治における「壮士」「大陸浪人」「ヤクザ」の違いや、それを利用する政党の背景を史料をもとに客観的に論ずる。新聞での報道、国粋会の制服、伊や米の暴力専門家の違いなど、飽きなかった。2020/11/05

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