内容説明
胃を悪くしても甘いものや煙草、コーヒーが止められず、医者が嫌いで、子どもに対しては異常なほど心配性……。寺田寅彦の背中を追い続けてきた著者が描くとっておきの姿。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
54
寺田寅彦の日記・書簡や、周りの人たちの書いたものを総合して、ふだん着の寅彦像を炙り出そうとする池内先生の目論見は、見事に成功である。「外では温厚な常識人、家では癇癪持ちで過干渉な家長」という寅彦の二面性がよくわかる。「控えろというなら死んだほうがまし」という極度の甘い物好きも微笑ましい。医学と医者を徹底的に軽蔑した寅彦。物理学者には、医学を科学だと認められなかったのだろうが、それが命を縮めることになる。寅彦の人間的な弱さも赤裸々に描写されるが、著者の眼差しは、寅彦への愛情と尊敬に溢れていてとても温かい。2020/07/17
トムトム
25
100年前に現代の最先端の科学者と同じ発想・予測をしていた人、天才!だからといって、聖人君子ではないというのも面白いと思います。寺田寅彦さんを貶めるための本ではなく、こういう面もあったようですという本。寺田寅彦ファンでしたら、ニヤニヤできると思います。2022/03/23
ポカホンタス
4
寅彦研究の手始めに読んだ。興味深い内容だった。2022/01/09
takao
3
ふむ2020/08/04
るな
1
寺田寅彦の書簡や日記、さらに家族、友人、知人の回想録などから、寅彦の素顔に迫ったもの。寅彦の信奉者でなければここまで細かい分析を試みることはないだろう。その時々の寅彦の想念を丹念に追いかけている。寅彦が、劇作家の別役実や作家の安岡章太郎と親戚関係にあることにも驚いたが、今年の映画界の話題をさらった「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督がこれに加わり、文芸に秀でた一族の系譜に連なるのだと納得。レオナルドダヴィンチとも称される多芸多才な寅彦だけど、その人となりには親近感を覚える。2022/12/30