内容説明
「内なる順応主義」に抗して、「健全な批判精神」を涵養する―民主主義にとってリベラルアーツ教育は必要だろうか?第一線で活躍する専門家3名によるシンポジウムに加え識者8名による論考を通して、この国の未来に必要なリベラルアーツを考える。「創造的リベラルアーツ」シリーズ堂々完結!
目次
1 “シンポジウム”リベラルアーツと民主主義
2 I cannot keep silent―「正義への衝動」を育てるもの
独裁国家に抗うために―パンデミックを通して考える国家・市民社会・リベラルアーツ
学問の自由が脅されるアメリカ
科学技術と民主主義
基礎自治体の民主主義―「市民参加」と「協働」の理念と実践〔ほか〕
著者等紹介
石井洋二郎[イシイヨウジロウ]
中部大学特任教授・東京大学名誉教授(フランス文学・思想)。著書に、『ロートレアモン 越境と創造』(筑摩書房、2009年、芸術選奨文部科学大臣賞)などがある
宇野重規[ウノシゲキ]
東京大学教授(政治思想史)。著書に、『トクヴィル』(講談社、2007年、サントリー学芸賞)など
重田園江[オモダソノエ]
明治大学教授(現代思想・政治思想史)
國分功一郎[コクブンコウイチロウ]
東京大学大学院教授(哲学)。著書に、『中動態の世界』(医学書院、2017年、小林秀雄賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
85
中部大学主催のシンポジウムを記録した一冊。大切な課題が浮き彫りになる:「民主主義社会の市民には一定の知識・教養が必要か」「アナーキズムと民主主義は同じ(グレーバー)」「データーサイエンスの危うさ」「科学技術と民主主義との矛盾」「民主政か、共和政か」「リベラルアーツ教育は、優れたリーダー育成のためか、一般市民を育てるためか」など。発言者である宇野重規先生、重田園江先生、國分功一郎先生とともに、進行役の石井洋二郎先生も秀逸。中身の濃い議論を通じて「リベラルアーツと民主主義の間の緊張感」(宇野先生)を味わった。2024/08/08
Go Extreme
1
教養と排除の論理 古代ギリシャ くじ引き民主政 現代議会は貴族政か 内なる順応主義への抵抗 民主主義参加の条件 大衆批判 正しく理解された自己利益 民主主義 つながる技術 他者に届く言葉を磨く 結果よりプロセス重視 能力非依存の民主政 情報公開の重要性 組織の権威主義 自由な言葉のアーツ 能動/受動市民 価値を変えるリベラルアーツ データ客観性への疑問 誠実さ 学術規範 民主主義下の自由制限 対話・議論・想像力 市民参加と熟議空間 リベラルアーツ 関係の技法 無関係ではいられない 日本は欠陥民主主義か2025/04/23