内容説明
モダン・ホラーを生み出したスティーヴン・キングのデビュー第2作。
恐怖の帝王のすべてはここから始まった。伝説の名作が装いを新たに復活!
「友達にも恋人にもならない。死と恐怖の王たる吸血鬼。その偉大なる碑」――小野不由美
セイラムズ・ロットの町に不吉な事件が頻発しはじめた。相次ぐ不審な死、そして甦る死者。ベンと仲間たちは丘の上の屋敷に潜む謎に迫るが、忌まわしいものの魔手が彼らに……。静かに降り積もってきた恐怖がついに怒濤となって爆発する! これぞ恐怖の帝王の本領発揮。読む者の呼吸を奪うクライマックスへ。
デビュー長編『キャリー』を刊行し、ベストセラー作家となったキングが、専業作家として初めて書き上げた作品が本書。吸血鬼譚を現代に甦らせ、現代ホラーに巨大な影響を及ぼした。「モダン・ホラー」を生み出した普及の名作。
解説・風間賢二
※この電子書籍は2011年11月に集英社文庫より刊行のものを、文春文庫より刊行した新装版の文庫を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねりわさび
96
集英社版を改訂新版化した長篇ホラー小説。字のサイズが大きくなっており読みやすい。キングの回顧録から抜粋した制作秘話も解説パートに所載されていてお得。下巻からの展開はスピーディーで、二度読みでしたが楽しめました。2024/07/06
sin
80
捕食者に抱いたであろう原初の隠れた記憶や、疫病といったいわゆる現代に於ては解明された危険など人間の抱く恐怖の源泉は自分たちの存在を脅かすものと考えられるが、思うに恐怖小説の真骨頂はそうした知識としてさらけだされた事柄ではなくいまにいたるも人間の抱え込んだ心の闇、悪意の存在をさらけだすことにあるのかもしれない。そこでは吸血鬼が恐怖の源にあるわけではなく、文中でも語られるごとく大文字で始まる“悪”が問題なのだ。そして象徴的なことに伝統的な吸血鬼はアメリカンな大量生産の吸血集団にバトンタッチされる。2020/10/09
特盛
18
評価3.4/5。スティーブンキングを一冊通読したのは初めてかもしれない。今回の話は著者初めての長編で、テーマは吸血鬼に乗っ取られる街だ。吸血鬼って正直怖いか?ってくらい正直古臭く感じるんだけど、料理の仕方は流石。対決に向かうシーンは文字通り手に汗握る。日本のホラーの主役は幽霊(=元人間、怒ってることや恨んでる内容が理解可能)が多いけど、海外のホラーは元人間じゃない、そもそもに理解の壁がある存在なのが一つの魅力かもしれないなと改めて。2024/04/01
ポルコ
15
仲間が次々と離脱してしまい、悲壮感は漂うが、大ボスを容易く倒したり、ラストの希望ある終わり方やらで後味は悪くない。2025/06/05
春ドーナツ
14
スノードームが「文鎮」、クローゼットが「押入」と翻訳されている。1977年に日本語版が刊行されたのだけれど、半世紀が過ぎるごとに改訳していただけれるとありがたいなあと思う。解説によると「カーラの狼」にはベンとマークの「その後」も描かれていたらしい。え。読み落としていた。ドン・キャラハンがローランドたちに語るセイラムズ・ロットにおける壮絶な過去は、本書をコピペしたかのように、まざまざと私の中でよみがえってきた。裏表紙の梗概に「読む者の呼吸を奪うクライマックス」とあって、確かにひえーハラハラドキドキしました。2022/11/06