内容説明
秋津真白(あきつましろ)は、伯母・赤江神楽(あかえかぐら)の遺体の前で目を覚ました。だが、全ての記憶がない。ここ赤江島は、呪術者として穢(けが)れを背負った祖先が暮らした島。屋敷には、ミステリー作家の神楽に招かれた8人が。真白の友人で民俗学研究マニアの古陶里(ことり)の他に、顧問弁護士、ジャーナリスト、担当編集者、旧知の三姉弟たち。伯母を殺(あや)めた犯人はこの中に……。真白と古陶里ペアが挑む、新感覚密室推理。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
180
萩原麻里さん初読み。嵐で閉ざされた「呪い」に染まった島で不可解な連続殺人が起こる……クローズドサークルの本格ミステリをラノベ風に描いたら「こうなりました!」という感じ……記憶喪失になった主人公の惚けた軽い語り口調で、漫才のボケとツッコミのような部分もあり、良くも悪くもサクサク読めた。ミステリ初心者に楽しさを覚えて貰うには丁度良いと思うが、私には物足りなく感じたのが正直なところ。随所に伏線を張ってはいるが、最後の謎解きパートで取ってつけたように感じてしまうのは何故だろう?犯人に意外性がないのも残念だった。2021/04/30
麦ちゃんの下僕
114
ラノベ作家さんが書くミステリーということで、期待と不安が半々でしたが…いろんな意味で面白かったです!序章以外で語り手を務める「僕」は、密室の中で記憶喪失の状態で見つかった“最有力容疑者”なんですが…とにかく軽くて子供じみているというか(笑) そんな「僕」の幼なじみで男言葉を話す着物女子「古陶里」とのやり取りもコミカルですし…全体的に横溝正史的なおどろおどろしさを期待すると拍子抜けしますが(笑)…嵐の孤島で次々と起こる“惨劇”は、意表を突く展開や結構複雑な真相も相俟って、期待以上に楽しむことができました!2020/06/06
相田うえお
104
★★★☆☆21060【呪殺島の殺人 (萩原 麻里さん)】初読み作家さん。本屋で文庫本エリアを何気なく眺めてたら『ん?何ちゃら島の殺人?』タイトルの一部『島』に目が止まり入手!(もう、館,荘,屋敷,島,などという ミステリーサークル系文字を餌に釣り糸を垂らされたら当方なんかすぐ食いついちゃいますよ。笑;;) この作品、トリックなどではなく、動機ありきの描き方でした。で、ポツポツと関係者が分かりにくい登場の仕方をしてくるんで、読み始めてからしばらくは『こいつ誰?』状態。久しぶりに登場人物一覧を書きました〜。2021/06/27
aquamarine
92
鍵のかかった部屋、目の前には死体。ナイフを持って血にまみれた自分には記憶がない…。密室、嵐の山荘、連続殺人、呪術者として穢れを背負った祖先の血と遺産相続…。ミステリ好きが涎を垂らすような要素満載なんですが、もともとがラノベ作家さんだからなのでしょうか、言葉遣いやキャラ設定が好みじゃないのが残念。設定もトリックも悪くないと思うのですが、特にクライマックスはもうちょっと何とかなるよね、と思っちゃうのは我儘でしょうか。なんか勿体ない。ラノベの読者が本格の入り口にするのならいいのかもしれません。2020/07/16
ちーたん
91
★★★★☆東京都の南の沖合に浮かぶ孤島『赤江島』。元々呪法を用いた一族が島流しされた流刑地でもあり『呪殺島』とも呼ばれる。末裔は早逝する者が多く生き残りはたったの二人。そんな二人の一方が殺され、一方が状況証拠から犯人状態で発見される。でも僕(主人公)は記憶がなくて…◆館、嵐、橋の崩落、電話不通と王道【クローズドサークル】の舞台は整い、そこに『呪詛』という伝承まで加わって雰囲気抜群!テンポ良い殺され加減もグッ!キャラ含め、本格ミステリとして私は楽しめた✨本命仕掛け作者の意図しない形で名推理した私ってば凄っw2020/09/25