イスラエル諜報機関 暗殺作戦全史(下)

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イスラエル諜報機関 暗殺作戦全史(下)

  • ISBN:9784152099440

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内容説明

第二次世界大戦以来、イスラエルは西洋のどの国よりも多くの人間を暗殺してきた。本書では、技術大国の軍事能力がゲリラ戦という異質な手段と融合して生まれた暗殺機構の秘密を暴き、その工作員、指導者、活動手段、作戦審議、成功、失敗、および倫理的代償について、その実情を明らかにする。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヘラジカ

61
遅れたけれど6月の読了分。あまりの密度/情報量の多さに消化しきれず、読了直後は感想が書けなかったので、上巻から毎日3章ずつくらいで一通り読み返した。邦題は暗殺作戦全史としているが、イスラエルの軍事的な側面から見る中東の歴史としても十分に満足感がある。ここまで膨大な情報を一貫した通史としてまとめあげた作者の力量や労力は驚くべきものだ。優れたノンフィクションの例に漏れず、淡々とした記述の中にも感情と好奇心を掻き立てる筆致があり、読むのがやめられないほどの吸引力があった。こちらも今年度のベスト候補。必読の一書。2020/06/30

seki

20
イスラエルとパレスチナの戦いの舞台裏。暗殺を国家の意思決定で行うというところにまず驚く。そこでは、誰をターゲットにするかという議論から始まり、周辺の罪なき人々をどこまで犠牲にして良いかまで決定されるという。ターゲットに関係ない子どもは絶対に犠牲にしないというルールがあるようだが、ターゲット自身の子どもは時に犠牲になり、罪なき民間人も多々殺されてきた。暗殺が成功しても、その後には報復が付き纏い、それの繰り返し。それぞれの国には、それぞれの事情があるというが、あまりにも命の価値が低すぎではないだろうか。2020/11/13

泰然

18
下巻は現代の大きな国際政局の裏側に迫る。イラク原子炉破壊作戦、強靱な相手・ヒズボラ(第二次インティファーダの過激派連合対策における軍事・宗教指導者の継続暗殺)、対リビア、対イラン作戦と組織改革を通して暗殺工作の効率化と継続性を自国の安全保障ドクトリンにしていく。黎明期のドローンと連携した精密攻撃、電子傍受、テロ組織の幹部を絶え間なく排除して敵のスキル年齢の低下を狙う戦術等、次第にシステム化される暗殺工作はアレントの「悪の凡庸さ」の如くで身震いがする。先制排除が民族生存の倫理規範となる世界を思考させる作品。2021/08/26

にしがき

16
👍👍👍 イスラエルという国の成立過程、規模から暗殺という手段を(仕方なく)とっていた上巻から時代が下り、下巻では暗殺という手段がテロとの戦いでエスカレートし、イスラエルの指導者が「単なる戦術的手段ではなく戦略的手段になりうるという幻想」に捉われ、「平和を達成するために…政治的に解決しようとする熱意には目を向けなく」なっている現代までが描かれている。よくぞそこまで、と思うほど内部情報や人間関係が詳しく書かれていて、本書に7年かかったというのも納得。まただからこそ、著者の将来への不安が強く伝わってくる。2022/01/01

本の蟲

9
テロと暗殺のサイクルはどこまでも加速する。複雑化する自爆テロの手口、それに対抗するための盗聴・監視技術、仕掛け爆弾、毒物、ドローンによる暗殺。国際社会から非難を浴びていた状況は9.11に一変する。テロ対策の教師として様々な機関がその技術を学びに来るように。しかし効率と効果が上がるほど、その倫理性のハードルは下がっていく。当初、重要対象への非常用措置だったはずが「予防」「迎撃」と言葉を変え、日常化していく。見せしめとしての民間施設への爆撃。政治的指導者への継続的な暗殺。交戦国とはいえ軍人でもない科学者(続2020/07/13

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