新潮文庫<br> 宮沢賢治の真実―修羅を生きた詩人―(新潮文庫)

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新潮文庫
宮沢賢治の真実―修羅を生きた詩人―(新潮文庫)

  • 著者名:今野勉【著】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 新潮社(2020/06発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101019710

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内容説明

猥、嘲、凶、呪……不穏な文字が並ぶ詩と出会い、著者は賢治の本心を探り始めた。信心深く自然を愛した自身をなぜ「けだもの」と呼んだのか。醜聞にまみれ病床でも自己内省を続けた妹の姿に何を思ったのか。名作『銀河鉄道の夜』の中にどんな欲望を秘めていたのか。緻密かつ周到な取材による謎解きの果て、修羅と化した賢治の“真実”に辿りつく。執念が実った圧倒的ノンフィクション!(解説・首藤淳哉)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

77
カムパネルラは果たして誰なのか。数十年にわたる研究のある、宮澤賢治とその作品の背景を、著者は改めて調査、実証していく。その徹底ぶりと論理はミステリも顔負けだ。驚くしかない。気象条件・新聞記事・生家の平面図などなど。今までの研究が急にかすんで見えるほどすごい。親友関係や賢治の妹さんのことを、今までいかに知らなかったか。そして結論は「銀河鉄道の夜」へと収束していく。圧巻です。意味不明にみえる表現にも、きちんと裏付けのあることがわかる。最も意外なのは、そうは書いていないが、音楽家・細野晴臣の祖父からの影響。2020/06/12

南北

44
文語詩の「謎の言葉」から賢治自身と妹とし子のそれぞれの恋がどのような結果に終わったのかを緻密に解明し、それをもとに「春と修羅」や「銀河鉄道の夜」を解明していきます。一読しただけではよくわからなかったところが少しずつ見えてくるようになるところは興味深く読むことができました。これまでも「イーハトーボ農学校の春」のようにお話の間に楽譜が入るなど1つの枠に収まらない宮沢賢治の作風には好感を持っていましたが、本書により、また別の新たな視点が得られたと思います。2020/06/25

TakaUP48

40
「猥」で始まる謎の文語詩に出会い、5人目の賢治を探った本。今までのイメージとはかけ離れた賢治像に出会う。同性に恋焦がれる賢治、最愛の妹の修復不可能なスキャンダルなどが飛び出す。筆者の取材力と「場の再現力」には驚くばかりだ。当時の地図、詩に出てくる現場の風速や光景。「銀河鉄道の夜」の謎解きに、天空の星の配置再現や、タイタニック号の沈没に触れた内村鑑三の講演記録掲載の「聖書之研究」を集めるなど、資料と事実を付き合わせるという精力的な行動は、唯々驚くばかりだ。時に、真実を知ることは、切なく辛いこともあるものだ。2020/09/23

きーしゃん

36
小学校の恩師が面白いから読んで見てと届けてくださった。面白かった!今まで、賢治は神様のような聖人君子だと思っていたけれど、この本を読んで、どこまでも人間であったということがわかった。そして生み出された詩も人間味溢れるものだったのだ。詩集をめくっているが、一向に意味がわからない詩が多い。銀河鉄道の夜も然りである。賢治の人生から賢治の詩や物語を読み解くこの本は、解説書として、一番わかりやすいものではないだろうか。銀河鉄道の夜や詩に投影された想いを知ることができてよかった。としの生き様を知ることができたのも。2020/09/19

tenori

27
門井慶喜さんの「銀河鉄道の父」を読んで以来、宮沢賢治の人となりに興味を持ち手にした一冊。難解と言われる賢治作品の断片を深掘りしながら、賢治の葛藤や気持ちの変化を検証して、なぜその言葉に行きついたのかを追う。渾身のドキュメンタリーといった印象。童話作品だけを読めば幻想的な人物像を思い描いてしまう宮沢賢治ですが、実は非常に人間臭い人物で、常に「影」の部分を持って生きていたことを知る。奥が深く面白い。ますます宮沢賢治という人物を知りたくなってきた。2020/05/29

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