内容説明
「山」「猫」「珈琲」は著者がとても好きで大切にしているもの。これらに励まされ、また癒され、日々の執筆活動に励んでいる。上巻は、朝日新聞、神戸新聞、日経新聞などに連載されたエッセイを収録。デビュー10周年記念の初エッセイ集! ※特別収録/同郷のポルノグラフィティの楽曲『Aokage』をイメージした掌編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
174
『田舎の長男の嫁です』とご自身のスタンスを書かれる湊かなえさん。全体として終始落ち着いた文章でまとめられているこの作品。笑いが止まらないとか、かっ飛んでいるとかではなく、湊さんの色んな考え方に淡々と触れることができる、そんな姿勢が一貫していたこの作品。とても真摯に物事を捉えられる方、そういう印象を受けるとともに「絶唱」という作品に込められた湊さんの強い思いに改めて感じ入りました。「絶唱」「山猫珈琲」この二冊を読むことで私の湊さんに対するイメージが全く別物になった、私にとって一つの分岐点となった作品でした。2021/08/20
のぶ
90
エッセイで上下巻に分冊されている本は珍しいが、とりあえず上巻を読んでみた。湊さんのデビューから10年間に各紙に書かれたものを集めたもの。それぞれが2ページ程度で収められているので、ちょっとした時間を潰すのにちょうどいい。この種のエッセイにありがちな重複している部分も目立つが、文章は日頃の毒気を含んだ小説とは違い、柔らかい印象を受けた。淡路島に住むごく普通の主婦が、作家としてデビューする過程がわかり興味深かった。それと事実は書いているが、自分の考えをあまり述べていない気がする。続いて下巻に入ります。2020/02/21
金吾
35
○湊さんのエッセイは初めてですが小説とはまた異なる魅力を感じました。凄く素直にかつ丁寧に思ったことや感じたことを表現していると思いました。山女日記での記載の背景がわかったり、面白かったです。2020/08/16
どぶねずみ
34
小説かと思ったら10年ほど前のエッセイ、セレクトを失敗するも楽しく読了。これまでの著者の日常が描かれており、とてもイヤミスの女王とは思えないほのぼのした湊かなえさんだった。著者の作品も様々だけど、特にミステリアスな作品はいつも気分が悪いのに、とても不思議だった。Audibleだったので、何かをしながら気楽に聴けたのは良かった。下巻もこんなな感じで緩〜く聴いてみよう。2025/01/11
いちろく
34
神戸新聞、朝日新聞、日本経済新聞に連載されたエッセイをまとめた内容の上巻。著者の出身地である因島(現広島県尾道市)や学生時代のサイクリングの話題など、私自身興味のある内容が豊富で興味深くページを捲れた。湊かなえの人生録の様な内容でもあるので、著者の作品がどのように創り出されているか?覗けるような感覚でもあった。あと、適宜挿入されるイラストの猫がかわいい。 2020/01/22