内容説明
ようやく父・義守一族との諍いに終止符を打った最上義光だったが、妹の義姫の嫁ぎ先である伊達氏との峻烈な抗争が始まった。甥の伊達政宗との確執から、東軍側につき、上杉軍と激闘を繰り広げた一六〇〇年九月の〝北の天下分け目の戦い〟までを描き、義光が追求した「さむらい道」の真髄に迫る歴史巨篇。義光の「負けまい、勝つまいの戦」を見よ!
解説・清原康正
(目次より)
九章 出羽の大守/十章 伊達政宗/十一章 大崎内紛/十二章 お東様/十三章 奥羽仕置/十四章 三条河原/十五章 天下分け目
(本文より)
遠国の大名を滅ぼして天下統一をくわだてるのは覇道であって、義光の考えるさむらい道とはあい容れない。武辺にのみ頼る武士は、それによって身を滅ぼす。義光はそう思っていた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
281
いよいよ伊達政宗も出てきて、直江兼続との戦があったり、その他、戦国オールスターズが関ヶ原に向けて躍動し始める。そうした流れの中で、いかに一地方武将の最上善光をピカピカに輝かせるかを期待すると、残念な読書になってしまう。堅くて現実的な描写に徹しており、山形郷土史の一つとして読むような一品。政宗の台頭から、一気に出羽周辺の武将/豪族の思惑が複雑化し、読みづらい文章と、似たような名前が多いせいで、頭の中で整理するのが一苦労だった。特に盛り上がりはなく、文章と同じく、手堅く地味に力を蓄えたなという印象。2020/06/19
らいおねる
5
上巻の感想に書いた毒を盛った話は創作で政宗の都合の良いように偽ったという説を採用。今までそういう話は聞いたことなかったからちょっと興奮しました。歴史に事実認定は難しいですが政宗の行動見るとありえないこともないと思う反面、戦のど真ん中までいって自分が和平に向けて動く行動力を持った義姫の苛烈さからしたら一般に広まってる説のほうが本当だったかなとも思います。正直、悪い箇所を隠した内容にも見えますが知らなかった行動なんかもあって新鮮でした。2023/05/13
円盤人
4
上巻より続く。劇的な物語のうねりより、場面ごとの丁寧な筆致やふくみのある会話、リアリティの描写で読ませる作風だと改めて感じた。この作品では何と、仇敵ともいえる伊達政宗と会うシーンはないのだ。ドラマを重んじる作家なら当然それを書くだろう。しかし作者は、伯父から見た愛憎半ばする甥の輪郭をくっきりと描くことに成功している。そのような小説上のわざを心地よいと思うかで評価は変わるだろう。義光の人物造形も奇をてらわないもので、司馬遼以前の作家の作風に近いのかもしれない。毎回こうだと寂しい気もするが、おもしろかった。2020/04/16
熱東風(あちこち)
3
これは山形に土地勘があって、よっぽど最上義光が好きな人でないと、読むのがしんどいかもしれない。細かく事績を調べているのだが、その細かさがかえってダイナミズムを失わせる要因になっているような気がする。いつの間にか家督を継ぎ、いつの間にか白鳥・天童勢を駆逐し、中野衆を退け、いつの間にか出羽周囲の豪族と角逐するような勢力になっている。もっとも戦国時代の勢力争いなんてそんなものかもしれないけど、関ヶ原合戦がらみでは、かの直江兼続を退けたのもあっけなく終わった感が否めない。2020/04/03
うたまる
2
最後の最後まで無理な盛り上がりを創らなかった堅実さに、大満足の読了。マイナー部将だけに地味だといえば全くその通りだろう。しかし、本書は山形新聞に連載され奥羽方言で書かれた山形県民のための歴史小説だ。彼らが郷土の英雄を存分に愉しめばそれでいいのだし、何なら日本中どこの地方だってそれぞれの英雄を愉しめばいいのだ。あざといようだが著者もそれを十分承知で、京都から故郷に帰ってきた義光に「おらが在所の水はうめえなあ」と言わせたのだろう。山形県民なら、そうだそうだ、と拍手喝采すればいい。京都府民は複雑だろうけどさ。2022/03/07
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