内容説明
『不夜城』『夜光虫』の衝撃から20年
究極のクライムノベル誕生!
台湾のプロ野球で八百長に手を染め、罪から逃れるために次々と殺しを重ねた加倉昭彦。居場所を失い、顔も名前も変えて過去を抹消、逃れ着いたのはサッカーの地イタリアだった――。イタリアの黒社会では、殺し以外の仕事なら何でも請け負い、いつしか「暗手」――暗闇から伸びてくる手――と呼ばれるようになっていた。そんなある日、サッカー賭博の帝王・王天から、ロッコに所属する日本人ゴールキーパー・大森怜央に八百長をさせろとの依頼が舞い込む。計画実行に向けて着実に準備を進めていく加倉だったが、大森の姉の写真を目にしてから過去の記憶がよみがえり、計画の歯車が狂い始める……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
127
『不夜城』以来、久しぶりに馳ノワールを堪能した。暗黒街に住み、何の感情もなく人を殺すことのできる男。恋情はあった。が、所詮それが叶うことなどないことも知っている。バイオレンスの中に忍ばせた切なさ、それこそが馳作品の魅力だと思う。本作の前段『夜光虫』より先に読んでしまったが、問題なく楽しめた。遡って『夜光虫』も読まねば。2020/09/08
takaya
17
馳星周らしいハードボイルドのノワール小説。イタリアを舞台にサッカー賭博のことが書かれていて、面白かったです。夢も希望もない世界ですが、主人公がその世界で自分を貫いていく結末に一種の潔さのようなものを感じました。2021/06/25
じゃに
14
夜光虫の続編って事で物凄く読みたかったのですが、この時期に夢見が悪くなるのも・・・と思い読むのを躊躇っていたのですが意を決して読!ん、馳先生やっぱり昔と比べて作品がマイルドになり、あの真っ黒さの中の残虐さ、救いようのない絶望感があんまり感じられなかったかも。お蔭で快眠は出来ましたが。2020/12/02
Masaru Yamada
8
久々の馳星周ノワールを読了。単発だと思っていた夜光虫から19年ぶりの続編で、待望の一冊だった。やはり不夜城、夜光虫に比べると文章は洗練されて読みやすくなっている。また馳ノアールもマイルドに感じるが、イタリア・セリアAを舞台にした八百長と裏組織の仕組みなど馳テイストは存分に味わえる。台湾、イタリアの次はどの国で闇を生き抜くのか。それも楽しみに続編を待ちたい!2021/01/10
myunclek
6
夜行虫の続編だとか…。残念ながら時が経ち過ぎて、物語を失念。失念したとは言え、馳さんのノワール小説の冴えは衰えません。2023/12/15