内容説明
舞台は十九世紀,英領インド.イギリス人の孤児キムは,チベットからきたラマと〈矢の川〉を探す旅に出る.やがて才能を見出されて,優秀なスパイとして育てられたキムは,大国の覇権争いのただなかに身を投じるが…….天才キプリングが少年の数奇な運命を描き,インドの豊かな風景と多彩な人びとを活写した,大河冒険小説.(黒田硫黄・画)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月をみるもの
14
https://t.co/18S01HB2LW で出てくる論文とか見てると、キプリングは帝国主義を積極的に肯定してて、、とか言ってるのが多い。しかし、本書をふつうに単体の作品として読む限り、そんな要素はほとんど感じられない。むしろ表紙やラストシーンに描かれている、キムと老師の魂の触れ合いこそが心に残る。キプリングは漱石と同時代人であり、この作品が書かれたころ、漱石はロンドンで神経衰弱になってたんだなあ、、と思うと、当時の「世界」がいかにイギリス中心にまわっていたのか実感される。 2023/06/15
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
14
供をすることでラマ僧に惹かれていく少年キムと、慕う弟子を愛する師匠ラマ僧。19世紀末イギリス領であったインドで、繰り広げられたスパイ合戦「グレートゲーム」を軸にした物語。2021/11/14
timeturner
7
孤児の少年がスパイになって活躍すると聞いただけでもわくわくするのに、キムとラマが旅するインドの街や自然の風景が素晴らしくて、普通の大福を買ったのに食べたら苺が入ってたみたいな気分。2015/12/10
brzbb
3
孤児の少年がスパイとして見出され訓練されるっていうのは『アレックス・ライダー』や『キングスマン』と同じ。しかも全部イギリス諜報機関だ。イギリスにはそういう伝統というかジャンルがあるんだろうか? キムがやってることは植民地を支配する大英帝国の使いっ走りにすぎないんだけど、スパイ・ゲームは同時に老僧との巡礼の旅でもあって、あきらかに政治や俗世間での成功だけがすべてではないというメッセージを発してる。あくまでも少年キムの目から描かれる世界の広大さ、驚異、人情、グレート・ゲームの残酷さも含めて、すべてが瑞々しい。2016/05/01
タペンス
2
上巻同様、やっぱり字面を追うだけで、中身が頭に入ってこなかった。私はキプリングとは相性悪いのかな?最後まで何が起きているのか、結局どんな話だったのかよく分かりませんでした。テンポが悪い。キムのビルドックスロマンということでいいのかな?それすらもよくわからない。2021/07/10