社会はなぜ左と右にわかれるのか - 対立を超えるための道徳心理学

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社会はなぜ左と右にわかれるのか - 対立を超えるための道徳心理学

  • ISBN:9784314011174
  • NDC分類:140.1

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内容説明

リベラルはなぜ勝てないのか?

皆が「自分は正しい」と思っているかぎり、左派と右派は折り合えない。
アメリカの政治的分断状況の根にある人間の道徳心を、進化理論や哲学、社会学、
人類学などの知見から多角的に検証し、 豊富な具体例を用いてわかりやすく解説した、全米ベストセラー!

気鋭の社会心理学者が、従来の理性一辺倒の道徳観を否定し、感情の持つ強さに着目。
自身の構築した「道徳基盤理論」で新たな道徳心理学を提唱する、注目の一冊。

◆ ◆ ◆

「人間性の理解に大きく貢献する重要な一作だ」
――『ニューヨークタイムズ・ブックレビュー』

「現役の心理学者のなかでもっとも賢く創造的な一人、ジョナサン・ハイトのこの力作は、現代のきわめて重要な問題の解明を試みる、輝かしく、勇敢で雄弁な書だ」
――ポール・ブルーム(イェール大学教授・認知心理学)

「道徳の心理学的な起源と、それが政治的な対立の激化に果たしてきた役割について深くメスを入れる本書は、この無益な争いの緩和に必ずや役立つはずだ。これは過大な期待ではない」
――リチャード・E. ニスベット(ミシガン大学教授・社会心理学)

目次

【第1部 まず直観、それから戦略的な思考】
――心は〈乗り手〉と〈象〉に分かれる。〈乗り手〉の仕事は〈象〉に仕えることだ

第1章 道徳の起源
第2章 理性の尻尾を振る直観的な犬
第3章 〈象〉の支配
第4章 私に清き一票を

【第2部 道徳は危害と公正だけではない】
――〈正義心〉は、六種類の味覚センサーをもつ舌だ

第5章 奇妙(WEIRD)な道徳を超えて
第6章 〈正義心〉の味覚受容器
第7章 政治の道徳的基盤
第8章 保守主義者の優位

【第3部 道徳は人々を結びつけると同時に盲目にする】
――私たちの90%はチンパンジーで、10%はミツバチだ

第9章 私たちはなぜ集団を志向するのか?
第10章 ミツバチスイッチ
第11章 宗教はチームスポーツだ
第12章 もっと建設的な議論ができないものか?

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

absinthe

205
オススメ本。保守とリベラル、分かれるのは何故か。脳の機能や人類の進化も交えて道徳について語る。道徳は6つの要素に分ける事が出来、味覚に似ている。保守は6つの道徳を平等に扱い、リベラルはそのうち3つを偏重する。著者は民主党支持者ではあるが、(共和党支持者でないと明言しているが)保守の理念にこそ大切な心理が隠れていると説く。無神論者だが、宗教は人類を救ってきたとその大切さを訴える。国家や共同体の解体は人類を暗い方向へ招くとまでいう。心理実験の結果、興味深い結論が示される。2016/02/16

おさむ

49
「誰もがここでしばらく生きていかなければならないのだから、やってみよう」。保守とリベラルの対立が深刻になる中、道徳心理学の観点からその構造を分析し、処方箋を描く。5つの道徳的基盤で両者を分類する手法は目から鱗。ケアと公正を重視するリベラル。併せて忠誠、権威、神聖をも取り込む保守。保守の裾野の広さを実感します。対立の原因は「私たちの心は自集団に資する正義を志向するよう設計されているから」だそうです。うーむ、ちょっと難解ですね。2017/07/06

くも

38
リベラルと保守の分かれ目は、意識による判断ばかりでは無かった。人間の心理学、特に道徳心理学と深いつながりがあって。人間は心理学的な6つの価値判断<ケア,公正,自由,忠誠,権威,神聖,>を重視する。リベラルは3つの価値判断により重きを置き、保守は6つ全部に同様に重きを置く。実はこれらの心理テストで政治的判断はほぼ推測できるという。結論のためのテストやその結果が図表も交えて示される。2020/10/12

踊る猫

33
リベラルから保守寄りへと立場をシフトさせた体験を持つ著者が記した本。何故リベラルは敗北せざるを得ないのか、ドナルド・トランプ政権が誕生した今読んでも充分にアクチュアルで面白い。人間は必ずしも理性で動く動物ではなく直観で動く傾向があること、集団に奉仕することを選ぶ「ミツバチ」な側面があること、更には宗教を軽視するのが何故危険なのかまで多岐にわたる話題が詰まっている。ただ、著者が必ずしもリベラルに対して攻撃的であるわけではない。デリケートな論調と態度を崩さず、やんわりとリベラルを諌める姿勢からは学べる余地あり2017/06/19

無重力蜜柑

29
大傑作。最近読んだ本じゃ一番面白かった。テーマは「道徳の進化心理学的な基盤」についてだ。原著が出版されたのは2012年で、当時既に相当強まっていた米国政治の党派性が筆者の念頭にはある。邦題と帯(挑発的だが本書の内容を端的に要約している)に眉を顰める者もいるかもしれないが、極めて冷静で「記述的」な本だということは最初に言っておく。むしろ、この「リベラルはなぜ勝てないのか」という文字にカチンと来る左派や、逆に得意げに頷いてしまう右派こそ本書を読むべきである。筆者が論じる分断の原因がまさにその態度にあるからだ。2024/06/15

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