内容説明
顔には歴史がある。喜怒哀楽にまみれて自らの道をひた走る、この映像の主役たちの一瞬の表情。「玄関払いを喰わせるような手強い相手ほど却っていい写真が撮れる」と語る、写真界の巨匠。――これは、決定的瞬間に人生を賭けた鬼才の、遮二無ともいえる魂と、魅力溢れる主役たちの魂とが奏する絶唱を聴く、古典的名著。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
もりくに
37
先の戦争(京都人の言う「応仁の乱」ではない)を挟んだ十数年の文化人の文字通りの「風貌」。土門の書く撮影時のエピソードを読みながら、モノクロ写真を眺めていると、「写真」が動き出しそうな気がしてくる。本人の筆による署名もよい。まず、「柳田国男」。この写真の10年前、「相手が知らないうちに撮った写真でなければ、価値がない」という柳田に対して、当時報道写真家であった土門は、「最小限の演出は避けられない」と反論、物別れに。10年後、社会的リアリズムの立場に立ち、当時の浅薄な考えを詫びると「そんなこともあったね」と。2019/05/08
ikedama99
3
肖像写真(鈴木大拙と谷桃子は素晴らしい)とそれに付随する文章は面白いし、当代のころの様子が分かって面白いが、写真の項の後についてくるエッセイのような部分の文章はより面白い。激情家であったという土門拳の思いがストレートに迫ってくる。「棺の上に飾る写真」の一文は迫るものがあった。また、そこで「草野天平」という詩人を初めて知った。この人の詩を読んでみたい。2023/07/13
メイロング
2
モノクロ写真はカラーより劣っているとはいえない迫力がある。それは画質のよくない写真がエモい感じとも違って、まなざしや輪郭をよりはっきりと描き出す。おまけのエッセイ3本も土門拳の写真観を伺わせるもので素晴らしい。こんなプロでも「数が質を保証する」を地で行くのだと思うと当時と現代、作者と読者がつながる感じがする。「続」を飛ばしてしまったけど出てきたら読みます。2025/09/29
寛理
1
柳田國男が土門拳に先駆けて「絶対非演出の絶対スナップ」を唱えていた点は重要。2020/09/12
shinsei1229
1
写真は健気な表情の斉藤茂吉、文章だと豪快な尾崎行雄の章が好きです。面魂という言葉を思い出させる写真と、著者独特の文章が一体となった名著。大きな版でじっくり眺めたい。2010/01/07




