講談社選書メチエ<br> アガンベン 《ホモ・サケル》の思想

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講談社選書メチエ
アガンベン 《ホモ・サケル》の思想

  • 著者名:上村忠男【著】
  • 価格 ¥1,595(本体¥1,450)
  • 講談社(2020/03発売)
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  • ISBN:9784065187562

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内容説明

イタリアの思想家が注目を浴びるようになって、すでに久しい。中でも世界の思想を中心で牽引してきたのが、ジョルジョ・アガンベン(1942年生)である。そして、今日に至るまで多数の著作をコンスタントに発表し続けてきたアガンベンの代表作が《ホモ・サケル》と題された全4巻計9冊に及ぶプロジェクトであることに異論はないだろう。その構成は、以下のとおりである。

I『ホモ・サケル』1995年(邦訳:以文社)
II-1『例外状態』2003年(邦訳:未来社)
 2『スタシス』2015年(邦訳:青土社)
 3『言語活動の秘跡』2008年
 4『王国と栄光』2007年(邦訳:青土社)
 5『オプス・デイ』2012年(邦訳:以文社)
III『アウシュヴィッツの残りのもの』1998年(邦訳:月曜社)
IV-1『いと高き貧しさ』2011年(邦訳:みすず書房)
 2『身体の使用』2014年(邦訳:みすず書房)

1995年から2015年まで、実に20年をかけて完結したこのプロジェクトは、いったい何を目指したのか? 日本語訳も残すところ1冊となったいま、《ホモ・サケル》に属する4冊のほか、アガンベンの翻訳を数多く手がけてきた著者が、その全容を平明に解説する。
プロジェクトの表題として掲げられた「ホモ・サケル(homo sacer)」とは、ローマの古法に登場する、罪に問われることなく殺害でき、しかも犠牲として神々に供することのできない存在のことである。ミシェル・フーコーが「生政治(biopolitique)」と名づけて解明に着手したものの完遂することなく終わった問いを継承するアガンベンは、この「ホモ・サケル」に権力の法制度的モデルと生政治的モデルの隠れた交点を見る。裸のまま法的保護の外に投げ出された「ホモ・サケル」の「剥き出しの生(la nuda vita)」の空間が政治の空間と一致するようになり、排除と包含、外部と内部、ビオスとゾーエー、法権利と事実の区別が定かでなくなること――それが近代における政治の特徴にほかならない。
現在進行形の重大な問いを壮大な思想史として描き出した記念碑的プロジェクトは、われわれにとって尽きせぬヒントにあふれている。その最良の道標となるべき1冊が、ここに完成した。

[本書の内容]
プロローグ アガンベンの経歴
第I章 〈閾〉からの思考
第II章 証 言
第III章 法の〈開いている〉門の前で
第IV章 例外状態
 補論 「夜のティックーン」
第V章 オイコノミア
第VI章 誓言と任務
第VII章 所有することなき使用
第VIII章 脱構成的可能態の理論のために
エピローグ 「まだ書かれていない」作品

目次

まえがき
プロローグ アガンベンの経歴
第I章 〈閾〉からの思考
第II章 証 言
第III章 法の〈開いている〉門の前で
第IV章 例外状態
補論 「夜のティックーン」
第V章 オイコノミア
第VI章 誓言と任務
第VII章 所有することなき使用
第VIII章 脱構成的可能態の理論のために
エピローグ 「まだ書かれていない」作品
あとがき
文献一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

34
本書を読む限りでは、アガンベンが探究する生権力は生と死の「閾」、つまり限界にあります。コロナで注目された彼の言説は否定神学的な良くも悪くもヨーロッパ的ではあっても、「例外状態」はイタリアの事態には有効であったと総括できるでしょう。彼の言説を参照するのは閾値を超えたようなぎりぎりの事態であり、最近、日本語訳の新著も出版されたように、これが全く閾値を超えていないにもかかわらず生権力にどっぷりと浸かった日本においてどう読まれているか。少なくとも日本の微温的な状況を擁護できるようなものはありません。2021/03/09

かんがく

11
最近、よく名前を聞くので興味をもって読んだ。フーコー、シュミットなど既にある程度知っている思想化との比較はある程度わかったが、難解な哲学用語を解説なしでバンバン使ってくるので半分ぐらいよくわからないままおわってしまった。特にキリスト教関連のテーマがかなり難しい。2021/12/06

mawaji

5
NHK・BS1「コロナ新時代への提言〜変容する人間・社会・倫理〜」で哲学者の国分功一郎氏が「生存以外のいかなる価値も認めない社会というのは、一体何なんだろう」と発言し人々が炎上したというジョルジョ・アガンベン氏の論考を紹介していたのを見ていたところに図書館の新初刊コーナーで目にした本書、とても難解でほぼ理解できませんでしたが「人間は語るためには言葉のなかでみずからを賭けなければならない」「哲学は今日、音楽の改革としてのみ生じうる」という言葉にグッときました。哲学とムーサmusicaは親和性があるのでせう。2020/07/05

ヒナコ

4
アガンベンによる巨大プロジェクトとしての《ホモ・サケル》についての解説書。 私個人は『ホモ・サケル――主権的権力と剥き出しの生』を理解するために、本書を読んだ。 しかし、書かれている内容がどれも高度だったのと、アガンベンの《ホモ・サケル》プロジェクトが壮大であり、すでに何冊もの著書が公刊されていることもあって、本書の解説の内容がほとんど理解できなかった。→2022/02/18

sk

3
二項対立が無効になる「閾」の思想。読みごたえがある。2020/05/20

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