内容説明
素人投資家をはめていく大証券会社。大衆投資家時代の罠と欲望……。金富証券の若手営業マン・古橋実は、社命どおりに株を売りまくり、顧客の主婦・森本美津子を破滅させ、告訴される。美津子の弁護人は、「法廷荒らし」の異名をとる老獪な猪狩文助。猪狩は、大証券会社の手口をつぎつぎと暴いていくが、公判中に意外な事件が起こる。株の世界の表と裏を克明に描く、長編法廷推理。<上下巻>
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
LUNE MER
12
舞台は日本がまだバブリーだった昭和60年ごろ、大手証券会社の悪質な営業の犠牲となって大損を被った主婦と共に我らが猪狩文助が法廷で挑む、ということでシリーズ唯一の二分冊大長編にして殺人事件のない異色の展開。今ほどコンプライアンスが浸透してなかった時代では普通に行われていたであろう悪質営業の手口や証取法違反で争う法廷の様子など、これはこれで抜群に面白い。しかし、投資絡みの事件と見せかけてどうせ後で死体出てくんだろ?と悪ノリで先読みしながら読んでいたら上巻終盤にてまさかの山的中!!(笑)いや、不謹慎か。2020/08/01