内容説明
老俳人・月岡草飛が行くところに怪異あり?
それは実際に起こった――そういうことだ。
俳人・月岡草飛は妻を亡くして気まま放題。月岡のもとには、謎めいた依頼の数々が持ち込まれる。
生きる欲望に貪欲に突き進むうち、いつしか異界に迷いこむ。
名手が贈る、ブラック&ナンセンスな奇譚集。
それはごく小さな空間で、真っ白な蓬髪を肩まで伸ばした老人が椅子に座り、背を丸め、眉根にしわを寄せて、
自分の前の台のうえに置いた大きなフラスコの中をじっと見つめていた。
月岡が思わず怯んだのは、その凝視のまなこに狂気の光としか呼びようのないものが炯々と輝いていたからだ。――本文より
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
salvia
5
痴呆ファンタジー?とくすくす笑いながら読み始めたものの、ブラック・ユーモアの奥にあるものを探るうちに考え込んでしまった。主人公である道楽者で教養豊かな老俳諧師は、生きる欲望に貪欲でありつつも近付きつつある死を恐れ、虚と実の曖昧な境に漂う。作者は『黄昏客思』では「加齢とは世界から謎が減少していくこと」と書いていたが、この小説では最後に「この面白い人生をこの先まだまだ楽しませてもらわねば」と老俳諧師に言わせている。チャーミングな老いを描いていると思う。2020/09/24
カミツレ
3
連作短編。冒頭の「ラジオ番組の謎」。著者がパーソナリティをしていたラジオ番組があった、と思いリアルな感じでしたが、いつしか幻想世界へ突入していました。 この現実から幻想へするりと移行する感覚がいいです。 「途中の茶店の怪」黄昏時、河原を歩いていて寂れた茶店でひと時過ごす話。賽の河原みたい、茶店の痩せたお爺さんは幽鬼? 「人類存続研究所」犬になれる方法があるとは知りませんでした。今後も幻想と現実のあわいを期待してます 2022/01/27
chuji
2
久喜市立中央図書館の本。2020年2月初版。初出「文學界」2016年1月号~2019年11月号にかけて。謎が多くてよくわからない、、、、、、、2020/03/20
りーよ
2
最初は何が何だかよくわからなくて、途中でこの御老人はボケているのでは?と思ったが、どうもそういうわけでもなさそう。説明がつきそうでつかない、幻想的とも言い難い不思議な世界だった。本の帯にブラック&ナンセンスとあったので、そういうものと思ってこの滅茶苦茶さを楽しむのが良さそう。たまには物語に置いていかれたような、ポカンとした気分になるのも面白い。2020/03/08
空飛び猫
1
現実から切れ目なく続く異世界 そこでみたものは、果たして2021/01/05
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