- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
信長との合戦を繰り広げ、将軍の権威を利用して西国諸大名との連携を試みた毛利氏。一方、毛利氏の勢力拡大に反発する大名・領主層を抱き込む包囲網を目論んだ信長。西国経略において競合していた軍事指揮官の秀吉と光秀は、最大の敵・毛利氏との決戦と、天下一統とが近づくにつれ、立場に齟齬を生じさせる――。本能寺の変の背景を、合戦を軸に西国大名の関係に着目し検証。天下一統への希求を生んだ状況に最新研究で迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
17
信長は毛利攻めで秀吉と光秀を競わせていたが、対毛利強硬派の秀吉が融和路線の光秀を抑えて織田家の方針を固めていった状況を描き出す。四国でも秀吉主導による侵攻作戦を信長が受け入れ、長宗我部と親しかった光秀の立場がなくなっていた。このままでは信長に無用者と見なされ、佐久間信盛同様に失脚するのではとの恐れが光秀を叛逆へと駆り立てたとする本能寺の変複合原因説だが、当時の西国国人衆の動向や書状などの史料から光秀の苦しい立場を立証しており説得力がある。「戦争とは他の手段をもってする(織田家中の)政治の継続」だったのか。2020/07/28
nagoyan
11
優。本能寺の分析というより、あまり知られることのない西国の戦国史。毛利氏が織田政権と本格的な対立関係に入るの義昭下向以降。毛利氏の消極的な態度が、畿内中国の反織田勢力の瓦解の要因。毛利氏の消極的な態度の原因は毛利氏が国人層の盟主に過ぎない支配体制の脆弱性に起因。他方、目を転じれば、北部九州における大友氏との対立関係。九州戦国は大友氏と毛利氏、大友氏と竜造寺氏、大友氏と島津氏の対抗関係と織田政権の関与。織田権力は、配下武将を熾烈な競争に置く。対毛利氏、対長曾我部氏政策で秀吉の巻き返しで窮地の光秀の起死回生。2020/03/18
MUNEKAZ
11
信長上洛後から本能寺の変前までの織田・毛利の関係を追った一冊。阿波三好を共通の敵とした提携の時期から、足利義昭の鞆下向による決裂、そして西国の覇権をかけた戦争まで変転極まる両家の関係を、一次史料を多く引用することで緊張感を持って再現している。またその中で織田家武将たちの熾烈な手柄争い、特に対毛利強硬路線の秀吉と、その対抗馬となった融和路線の光秀の関係も描かれる。毛利家メインでタイトルから想像する内容とはだいぶ異なるのだが、戦国時代後期の西国情勢がよくわかって面白い。2020/02/27
スプリント
10
毛利家と織田家の外交駆け引きについて詳しく書かれている。 外交史料を多数取り上げているので関係性がよくわかる。 元就があと10年長生きしていたらどうなっていたのか。 足利義昭が鞆に逃れることができず機内で抹殺されていたらどうなっていたのか。想像するもの楽しい。2024/01/04
フランソワーズ
10
本能寺の変までの、毛利氏と中心とした西国情勢と織田権力の動向が詳解されている良書。中でも多数の書状から、各諸将の思惑や思惟が窺えるのが良い。例えば安国寺恵瓊の有名な書状は全文を掲載し、信長秀吉の運命の予知ではなく、毛利と織田との駆け引きを考察しています。本能寺の変の理由については、信長による家中内競争原理による光秀の不安がそうさせたということでしょうか。→2021/10/17