内容説明
ドキュメンタリー番組で出会った三阪剛という青年に作家の私は強く惹きつけられた。二人で作り上げた番組は成功し、順調だった。だが彼に病魔が迫った時、私は彼の忘れられない女性の存在を知らされる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
87
前半は、若きディレクター三阪剛との交流を中心とした作家の私小説であり、後半は三阪剛が愛したヤスコの残酷で、理不尽で、無慈悲な苦難と絶望の物語である。分離しているようで、話はきちんと繋がり変容していく。前半の明るく語られる事柄が、後半の暗く絶望の世界で捉え直される。松井秀喜の活躍、カザルス「鳥の歌」が作品に深い意味合いを持たせている。波瀾に富んだ男女の悲劇的な運命を描いた物語ではあるが、登場人物たちの潔く力強い生き方が、静かに、熱く心を揺さぶる。伊集院静の作品の中では、一番好きなかもしれない。 2023/02/01
かしこ
75
母から借りた本。伊集院さんの小説は初めてかも。読みやすかった。宮本輝さんの雰囲気にも感じた。松井秀喜の人の良さって、この本にもあるように画面からいつも伝わってくるよね。イチローは孤高の人。松井は愛くるしい。そんなイメージ。アメリカで人気なのもわかる。日本で活躍しているときはあだ名のゴジラだったのも魅力からかな。ありきたりな男女が再会をする感動ものかと思ったらいろんな展開をして行って驚き。天使の声の表現もいいな。人間にはみんなそんな声が聞こえるのか、それとも…。私にもいつか聞こえるのかしら。2020/06/25
てつのすけ
43
前半と後半で、趣がまったく異なっている。後半は、前半からは想像できない展開が待ち受けていた。後半途中は、酷い内容だったので嫌気がさしてきたが、ラスト数ページで感動に変わった。2020/10/13
ランラン
10
再読。人は生きていけば悲しいことに巡り逢うのが私たちの生です。著者が若いときに大切な人を幾人も亡くしてきただけに言葉に重みが感じられる。天使の分け前という考え方はいい話であった。2025/05/03
ランラン
6
この話に登場する女性の壮絶な人生に読み終わったときに胸にこみあげてくるものがありました。それはなぜはか、生きることはつらいことの連続であることと、それを乗り越えていくたくましさがあったからです。「人間生きていけば悲しいこととめぐり逢うのが人生であり、でも人間がこうして何千何万人が泣いたり笑ったり怒ったりしているのが悲しみには終わりを迎えることがあるからである」感動の言葉でした。2020/12/05




