内容説明
織田信忠は、父信長から才覚を認められ、十九歳の若さで家督を継承した。大軍の指揮を任され、紀伊雑賀攻めに続き、謀叛した松永久秀の討伐に成功。さらには先鋒の大将として信濃・甲斐に攻め入り、宿敵武田氏を滅ぼして信長から称賛される。だが凱旋からほどなく、京都で本能寺の変に遭遇。明智光秀の軍勢に包囲され、衆寡敵せず自害した。実績を積み重ね、将来を嘱望されながらも、悲運に斃れた二十六年の生涯をたどる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
terve
31
織田信忠についてはまとまった評伝がないので、良い入門書ではないでしょうか。資料を精査し、主観を排する記述が多く好感が持てます。信忠は、信長の言いなり坊ちゃんのイメージでしたが、お互い衝突する時があったのを知り、やはり信長も人の親なんだなぁと思いました。最終的に、信忠が生きていればという点に関してはやや尻すぼみな点もあります。しかし、清洲会議において四宿老が三法師の扱いについて敬意を持っているところから、恐らく信忠は、信長の後継者として恥じるところのない人物だったように思われます。興味深い本です。2019/08/23
鐵太郎
30
織田信長の嫡男で、本能寺の変で父と共に明智光秀の軍勢により26歳で敗死した織田信忠についてまとめた歴史資料。父やその他の武将に比較してあまりに少ない史料をよくぞここまでまとめた、と言いたいのだけれど、推定の積み重ね感も否めませんね。とはいえ、信忠という人間が、ただの若様としてのほほんと生きた訳ではないことはあきらかかな。信長という独裁者の下で、嫡男として父に認められようと奮闘した姿は見て取れます。そうそう、信忠の官位のひとつ、秋田城介は「あいたじょうのすけ」と読むのか。初めて知ったかも。2021/11/25
みこ
26
待ち望んでいたタイトルである。本能寺の変は信長よりも信忠が死んだことがその後の歴史の流れに大きな影響を及ぼしたと言われている。しかし、彼自身の人物像や戦国武将としての評価は今一つ分かっていない。そんな期待を込めて読んでみたが、やや物足りなかった。確かに織田家の後継者として権力移譲はされていたようだが、それでも織田家総帥といえるほどの印象は持てなかった。著者もあとがきで記しているように彼の生涯はあまりにも短すぎたのかもしれないし、まだ新書として刊行するには研究が進んでいないのだろう。2019/10/03
ようはん
23
信長の跡継ぎとしては割と順調なキャリアを積んでいた印象で本能寺の変で生き延びていれば歴史はかなり変わっていた筈。しかし信忠だけでなく本能寺の変で明らかに悪い方向に運命変わった人間は多いなと感じる。2020/08/17
ごん
17
信長の後継者の信忠について書かれた著作です。僅か26歳の若さで亡くなっているので、やはり記録が少ないようですね。ただ少ない記録でも信忠が優秀で勇敢な武将であったことが判ります。松永久秀や武田勝頼を滅ぼすなど並の武将では出来ない事だとと思います。恐らく本能寺の変で信忠が生き残っていたら秀吉や家康の天下は無かったでしょう。それだけでも信忠の死が日本の歴史に大きな影響を及ぼしたことがわかります。2022/01/14