内容説明
なぜ、俳句は大のオトナを変えるのか!?「いつからでも入門できる」 「俳句は打球、句会が野球」「この世に傍点をふるようによむ」──俳句でしかたどりつけない人生の深淵を見に行こう。芥川賞作家で俳人の著者が放つ、スリリングな入門書。
<ラグビーや相撲は中年をすぎたらもう出来ない。野球をするのも、けっこう大変だ。俳句はいつからでも入門できる。そして、その入門する世界は「五七五」や「季語」のもたらす醍醐味をひっくるめ、もっと大きな混沌と豊饒さをたたえて、皆さんを待っている。>(はじめに より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
72
2019年最後の本。今年は短歌にハマり(『詠む』じゃなくて『読む』専門)コトバの芸術の分野を広げようといろいろ読んでみたが、俳句はほかの詩歌と比べ縁遠い。来年もチャレンジングな一年にしたい。皆さま今年もお世話になりました。本の感想じゃなくなってしまいましたが、肩の力が抜けた楽しいエッセイでした。2019/12/31
アマニョッキ
57
すごく面白かった。もう長嶋有さんの文章に触れていられるだけで幸せ、という境地にたっている気もするが。俳句の作り方はほとんど載っていません。どうやって俳句をひろめていくか、という著者の奮闘劇であり、俳句の裾野を広げたいという願望の書であります。撒かれた種に小さいながらも花を咲かせたい!というのが長嶋有さんを愛する者の心情ですので、わたしのこれからの目標は「いつか読メ句会をひらく」ということにします!(宣言)2019/12/17
おおにし
21
俳句入門書だと思って図書館で借りたら俳句に関するエッセーだった。でも句会の楽しさが伝わってきて面白く読めた。句会デビューしたばかり私は、長嶋さんの「サンダルで走るの大変夏の星」「水筒の麦茶を家で飲んでおり」というさりげない句が詠めるようになることを目標にしたい。間違ってシャッター押してもできる写真と比べて、俳句は間違ってできることはない。そういうことをわざわざ俳句にした人の情報が句に添付されている。長嶋さんはこれが重大なことだと語るが確かにその通りだと思った。2022/06/17
キビ
21
バスタイムのお供に読ませていただいていました。本当、ちょっとずつ。最近テレビ(クイズ番組?)で、芸人さんが有名と思われる俳句を「全く聞いたことない」と言っていて、えぇ?!と驚いたのだけど、そう言えば長嶋さんの本に「暗記できない」とか書いてあったなぁと思い出した。多分、根本的な意味は異なるのだけど、何か別にいいんじゃない、と思えた。本書は、何か俳句楽しそう!と親しみを持てる点で俳句の入門書と言えばきっとそうなのだけど、「長嶋有さん」を楽しめる一冊かなと思いました。2020/02/11
こうすけ
19
まさしく俳句の入門書。長嶋有らしい視点と言葉選びでユーモアと毒気の絶妙なバランスのなかで話がすすんでいく。おりおりの俳句も優等生っぽくなくてかなりいい。小説の、あの独特な語り口は俳句からきているのだとよくわかる。2024/10/29