内容説明
こうして「日本」は形づくられた!
なぜ、大和は出雲を必要としたのか?
朝日と夕日、太陽と蛇、陸と海、現世と他界―
天武・持統の大和王権を守る「両端の象徴的霊威」をになうものとして伊勢・出雲をとらえ直し、日本の起原に鋭く迫る試み。
「神とは何か」という民俗学による理論的分析の視点と、歴史学による記紀をはじめとする文献研究、考古学の発見を融合させた、新しい古代探究!
【本書の内容】
第一章 伊勢神宮の創祀
第二章 〈外部〉としての出雲
第三章 祭祀王と鎮魂祭
終 章 〈日本〉誕生への三段階
※本書の原本は、2008年に講談社選書メチエより刊行されました。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
かふ
20
天皇と呼ばれるようになったのは天武・持統天皇の時代からで政治や権力の中心となった律令制の祭祀を祀る場所とした。それに対し、出雲は外部の神々の祖先(ふるさと)とされてきた。和歌の源が素戔鳴尊にあるということは、祭祀の神としてはもともと出雲にあったのかもしれない。その中心をアマテラスの伊勢神宮に移したのが国譲りということなのか、そこから大王から天皇(大君)と呼ばれるようになる。ざっと読む。藤原氏の摂関政治により、出雲は必要とされなくなる。2025/11/13
わたなべよしお
16
素人が読む本じゃないなぁ。素人に読んでもらうようにも書いてないし。何より、あまり説得力がないし、特に斬新なのことが書かれているわけでもない、という印象だ。まぁ、途中からテキトーに読んでしまったので明言できないけれど。論証があまりに細かいので、論理を追うのが面倒だし、なるほど、と思うような記述もなかった。王権が持つ二重の性格だって、いかにもみたいに書いてあるが、改めて強調されるような話でもないしねぇ。2020/05/04
∃.狂茶党
13
現在進行形で、政治的に改竄や隠蔽が繰り返されてる日本ですが、日本書紀の推古三十年をなかったことにしてしまうのは、相当の荒技。 歴史を残そうって最初期の試みでそんなことするのすごくないか。 厩戸皇子の没年を一年繰り上げてるらしきことから、資料紛失などの事故ではなく、意図的な行為と目されてる。 日本すごい。 日本の歴史を民俗学的に、考古学的に、文献史学的にさらっていくすごい本。 こちらの情報不足と、古文をいちいち読み下さないスタイル再読を必須とするでしょう。 2023/06/24
∃.狂茶党
9
教科書のように、各節にまとめが付され、全体のまとめもあるため、そこだけでも、全体的なことがわかる親切設計。 文章も教科書的で、少し堅苦しいかもしれませんが、教科書的ってことは、普通に読めるってことでもあります。 たまふりたましずめという、折口の読み解きを用いつつ、「神(話)」が編纂されていく姿を辿っていきます。 それは日の本の国の幼年期の姿でありましょう。 (ただ天皇の誕生は曖昧です。) このような学問、書物が許されぬ時代がありました。 そのことを、心に刻んでいましょう。血が流れるほど深く。 2022/10/23
かわかみ
6
民俗学の碩学による論考で面白かった。文献史料の考察から伊勢神宮の創祀は天武・持統天皇が王権の神聖化を図った時に為されたことは納得。出雲王権の推移を青銅器・古墳から考古学的に考察し、大和王権にとって蛇神信仰の出雲という外部が古代人のコスモロジーに必須という推察も共感できる。伊勢神宮と出雲大社については概ね納得できたが、その後の摂関政治や武家政権が王権にとっての新たな外部となり、ゆえに王権は再び神聖性を取り戻したというのは無用なトートロジーにも見える。著者の論法だと院政はどのように規定されるのだろうか?2025/04/21
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