内容説明
2019年北欧ベスト・ミステリー受賞作!
「ガラスの鍵」賞、マルティン・ベック賞、ゴールデン・リボルバー賞の三冠に輝いた『猟犬』の警部ヴィスティングが帰って来た!
2015年の『猟犬』以来、久々の邦訳となった本作は、2019年英国ペトローナ賞(英訳北欧ミステリ・オブ・ザ・イヤー)受賞作である。
著者のヨルン・リーエル・ホルストは、自身が警察官出身。ノルウェーの警察小説の第一人者として、本国ノルウェーのみならず、北欧各国、英語圏で人気を博している。
ノルウェー南部の小都市、ラルヴィク警察犯罪捜査部の警部ヴィリアム・ヴィスティングが、謎の失踪を遂げたカタリーナ・ハウゲンの行方を追い始めて24年がたっていた。ヴィスティングは毎年、事件が起きた十月十日になると、夫のマッティン・ハウゲンを訪ねていた。24年目の十月十日も同じように訪ねたが、マッティンは不在だった。異例のことだった。
明くる日、オスロの国家犯罪捜査局(クリポス)未解決事件班の捜査官アドリアン・スティレルが来訪する。スティレルは、カタリーナ事件の2年前に起きたナディア・クローグ誘拐事件の再捜査を始めていた。事件は殺人事件と見なされ、その最重要被疑者として名前が挙がったのがマッティン・ハウゲンだった。
スティレルがヴィスティングに言う。「力を貸していただきたい。ハウゲンと親しいあなたに」
ヴィスティングは了承のしるしに短くうなずき、こう続けた。「一点だけ問題がある。マッティン・ハウゲンが消えた」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
119
二つの未解決事件を追ったノルウェイの警察ミステリ長編。本作はシリーズ12作目とのこと。主人公の警部ヴィスティングは落ち着いた人物像で信念があり、じっくりと捜査を進めていく姿がいい感じ。人気が継続するのも分かる気がする。当局から来た若手のやり手スティレルと鋭い視点を持つ記者である警部の娘リーネも含めた三者三様な技量の見せ方も面白味があった。スティレルはクセがあるが気になる存在。そして終盤の山小屋の場面が印象的。心情を読みながら、読み切れない緊張感を交えた駆け引きを見せてくれた。既刊の「猟犬」も読もうと思う。2020/06/10
ケイ
112
非常にハラハラとさせられる緊張のシーンが続くも、どこか安心して読んでいられる。つまらない御託もないし、気持ちの描き方が丁寧でとてもいいシリーズを見つけた。この警部ヴィスティングのシリーズは、2019年で14編目がノルウェーでは刊行済み。邦訳はこれが二作目で全体の中では2017年で12編目のようだ。邦訳の順に読むか、ノルウェーの刊行順に読んだらいいか、まようなあ。2023/07/10
Panzer Leader
88
「猟犬」から3作を挟んでの本書で、孫ができていたり付き合っていた女性とは別れていたりと私生活でも随分変化があったヴィスティングシリーズ。ミステリー要素としては24年前の女性失踪事件と26年前の少女誘拐事件の謎を探るのみという非常に単純な構造であり、エキセントリックな人物も登場せず劇的などんでん返しがあるわけでもないのに最後までだれることなく読ませ切るのは、それぞれの登場人物達の思考・行動を丁寧に描き切っているから。国家犯罪捜査局のスティレルが随分重きを置いて描かれているのは次作以降も登場する布石なのか。2020/08/07
エピファネイア
83
久々の北欧、その中でも最北端のノルウェー発のミステリー。この作家さんは初読み。巻末の解説によるとこのシリーズは既に14冊発行されていて、本作は12作目だとか。シリーズ物は第1作から順番に読みたい身としては残念な情報。何を書いてもネタバレになりそうで感想を書くのが難しいが読ませる作品だ。長さも手ごろだし、登場人物に反吐が出るような悪人がいない。警部ヴィスティングとその娘でタブロイド紙の記者であるリーネの親子関係も色々な変遷をたどって今の形になったのだろう。やっぱりシリーズ物は最初から翻訳してほしいものだ。2024/11/03
キムチ
82
事件を引っ張るのはヴィスティングと娘のリーネ。サツの人間&ジャーナリストという組み合わせが妙。何故なら、職人気質の主人公の観察眼を冷めた視点で分析する娘の慧眼。読み手は同時進行で思惟できるから、こんな面白い事はない。筋の半ばで大半の読者は「ハハぁ」とくる・・後は奴が仕掛けにどう食いつくか・・な訳。いわば心理戦争。題名に有る「コード」の謎は半ばで見えてくる・・これもどう解明されて行くのかが見えてくると!何ともいいテイスト。筆者の容貌が開高健を思い出させ、フィッシングをしつつ味わうキャンプ料理を相伴したくなる2020/04/07
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