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内容説明
戦後の「正義」に抗い、自身の「私情」に忠実であることを表明した「戦後と私」、三島由紀夫、石原慎太郎、大江健三郎を論じた卓越した批評「神話の克服」。「私」三部作ほか、癒えることのない敗戦による喪失感と悲しみを文学へと昇華した批評・随想集。自作回想「批評家のノート」初収録。
〈解説〉「江藤淳と『私』」平山周吉
【目次】
Ⅰ
文学と私/戦後と私/場所と私/文反古と分別ざかり/批評家のノート
Ⅱ
伊東静雄『反響』/三島由紀夫の家/大江健三郎の問題/神話の克服
Ⅲ
現代と漱石と私/小林秀雄と私
解説 江藤淳と「私」(平山周吉)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
9
初期論考集。「行為はひとつの危機的な受け身の行為でしかない。三島由紀夫氏を他の戦後派作家からへだてているのはこの特徴である。彼がほかの同時代者よりすぐれた作家的資質にめぐまれているのは事実であろう。しかし、それ以上に彼の作品の魅力や通俗性(!)は、その完全な受動性、その本質的なロマンティシズム、あるいは彼の「神話」との秘密結婚などの点にもとめられなければならない。ほかの多くの戦後派作家は結局現実をかたちづくろうとするものーつまりリアリストであった。しかし、三島氏は、本質的にロマンティシストである」2019/07/11
JVSTINVS
3
70-80年代の江藤は、内容は空疎なのに、もう気圧されるほど文章が上手い。自己を糊塗するレトリックに見せかけたものが実際は真情の吐露になっていて(突然一服したり散歩したり)、私小説なるものの達成は江藤の批評ではないか、という気がする。2023/08/27
本命@ふまにたす
2
批評家、江藤淳のエッセイ集。本格的な文学作品の批評よりも、回想録的なエッセイが中心のように感じられるが、それでも収録されている文章はやはり批評家のそれであるように感じられる。2023/03/19
ユウキ
0
神話の克服が読めてよかったです。2023/12/22