内容説明
長城の向こうに広がる愛。匈奴（きょうど）の王に嫁した伝説の美女が、苛酷な運命に挑んだ生涯を描く傑作。数奇な美女の運命は？ ――長城の向こうには、どんな世界がひらけているのだろう？ 前漢の末、たった１枚の似顔絵ゆえに、匈奴の王へと嫁した王昭君。薄幸の佳人として描かれてきた人物は、数奇な運命に立ちむかった女性だった。遊牧民と農耕民の架け橋となり、西域の地に愛と夢を育んだ一生を、清新な解釈で描きだした中国歴史ロマン。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BIN
5
中国四大美女の一人で前漢の頃に画家に賄賂渡さなかったせいで不細工に書かれた結果、匈奴の単于の嫁にさせられてしまった悲劇のヒロインという印象でした。だが本作ではむしろ堅苦しい漢から解放されて、広漠とした大地で奔放に暮らせてむしろ楽しそうに描かれているので、最初の印象より気軽に読めた。匈奴の習慣で夫が死んだら義理の息子の嫁になるところでもっと葛藤させてもいいようなものだが、終盤にそのことで辛いことがあるのでいいか。2017/07/06
葉月あき
2
久しぶりに再読した。「悲劇の美女」というイメージを覆す、生来快濶で自由を求める自らの心に忠実に生きた王昭君の姿と、そんな彼女が終盤になって流した涙が印象深い。2009/06/05
祥子
1
伝えられる「悲劇の美女」とも、中国物にありがちな「女傑」とも違う、現代の自由を求める女性、それも野生の獣のような王昭君がとても新鮮。2009/08/19
悸村成一
0
読了32冊め。本文約570枚。2021/05/29
光雲
0
藤水名子先生、中学から高校の時にたくさん読ませていただきました！何年ぶりの再読でしょうか、懐かしくて読みながら胸が熱くなりました。そうか、この作品は作者の想像によるところが大きいのか。こんなに王昭君の資料がないとは…でも好奇心旺盛で男っ振りのある昭君は魅力的です。あとがきで作者の産みの苦しみも伝わってきました。夫が亡くなると妻たちはその息子に引き継がれるという匈奴の掟もスゴいな…と思いつつまた水名子先生はロマンチックに仕上げてくれました☆2019/05/15
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