内容説明
時代は変わる。人も生活も、歌も変わっていく。それでもどこかで、あなたの歌がうたわれている――。父、阿久悠が教えてくれた人生の真実。天才作詞家の素顔にせまる感動の書き下ろし!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Roko
8
「また逢う日まで」「北の宿から」「勝手にしやがれ」「UFO」「雨の慕情」「ピンポンパン体操」「ジョニィヘの伝言」「熱き心に」など、数多くのヒット曲を生み出した阿久悠氏は、1曲2時間で書いていたのだそうです。資料などは普段から集められていたのでしょうが、それにしても仕事が早い!この本の中に登場する曲はどれも懐かしく思い出すことができるものばかりでしたが、その中でも「気絶するほど悩ましい」でデビューした Char の話はとても興味深かったです。2020/02/24
hitotak
4
阿久悠自身は生真面目な努力家で、「やせがまんとダンディズムを重んじていた」というが、息子の太郎氏もそんな父に影響されたのか、非常に抑制の効いた文章で亡き父と少年時代の懐かしい日々、現在までの自分史を書いており、引き込まれる。華やかな芸能界で大成功を収めた有名人・阿久悠の息子である苦悩もそれなりに感じつつ、その少年時代と暮らしぶりは案外と落ち着いたものであったようだ。文中では作詞家としての阿久悠を家族ならではの視点で分析するような箇所や、父の仕事仲間達と著者の交流など、隠れたエピソードも披露されている。2019/11/10
沈丁花
2
淡々とした語り口からも、時折「父親のことが好きだったんだな」と感じる。期待していたものとはちょっと違っていたが、「転機」のところから俄然面白くなった。著者にとって、浪人して、生まれて初めて阿久悠の息子であることを誰も知らない環境にいることが、今まで味わったことのない解放感があり、革命的だったとのこと。親が偉大であることは、それだけで大きなものを背負っているのだろう。時代を作り時代そのものであった阿久悠氏が、徐々に時代から離れ、老い病い死んでいったことに無常を強く感じた。2025/09/20