朔と新

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朔と新

  • 著者名:いとうみく【著】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 講談社(2020/02発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065175521

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内容説明

兄の朔(さく)が1年ぶりに家へと帰ってきた。朔と弟の新(あき)は、一昨年の大晦日、父親の故郷で正月を迎えるために高速バスで仙台に向かい、バスが横転する事故に巻き込まれた。朔は視力を失い、盲学校での生活を送っていたのだ。大晦日に帰省することになったのは、新が母親と衝突したことが原因だった。本来の予定より一日遅れでバスに乗ったのが、運命を変えたのだ。
中学時代、新は長距離走者として注目を浴びていたが、ランナーとしての未来を自ら閉ざし、高校に進学した後も走ることをやめた。
そんな新に、突然、朔が願いを伝える。
「伴走者になってもらいたいんだ、オレの」
激しく抵抗する新だったが、バスの事故に巻き込まれたことへの自責の念もあり、その願いを断ることはできなかった。かくして兄と弟は、1本のロープをにぎり、コースへと踏み出してゆく――。

東京2020オリンピック・パラリンピックをむかえるにあたり年、ブラインドマラソンを舞台に、近いからこそ遠くに感じる兄弟、家族の関係を描き切った一作。日本児童文芸家協会賞を受賞し、2年連続で夏の読書感想文全国コンクールの課題図書に作品が選出された、児童文学界屈指の書き手、いとうみくが渾身の書き下ろし!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

sayuri

140
いとうみくさんの作品はいつもヒリヒリする痛みを伴う。仙台に向かう高速バスに乗っていた朔と新。バスが横転する事故に巻き込まれ兄の朔は視力を失ってしまう。本来なら前日に両親と共に帰省していたはずが、弟の新が母親と衝突した事で運命が変わってしまったのだ。失明の原因は事故なのに、自分を責めて大好きだった陸上を止めてしまった新の思い、そして母親の容赦ない言葉に胸が苦しくなる。ブラインドマラソンに挑戦する事で朔と新、それぞれに光が見えて来た事に救われる。一本のロープを握り共に走る朔と新の姿を想像して涙が溢れた。良作。2020/03/11

美紀ちゃん

133
うるうるポイントがいくつかあり、良い話だった。 高速バスの事故で、失明してしまった兄の朔。 その責任を感じている弟の新。 家族の歪み。 お互いの距離が近すぎて本音が言えないもどかしさ。 兄の朔は勇気があり、とてもいい人。 きっかけはブラインドマラソン。 新が伴走者で朔は走れるように。 毎日マラソンの練習へ行く2人。 ケガをさせてしまった時と、 小さい女の子が絵を描いて持ってきてくれた件のところ、 ラストの大会前の本音を言えた時にジーンとくる。 試験問題にもなっていて、良書。 泣ける本。2022/10/31

chimako

117
家族は難しい。家族だからこそ分かり合えなかったり、素顔を見せなかったり。主人公 朔と新は兄弟。朔はバス事故で失明し盲学校で学び家に帰ってきた。走ることで将来を嘱望された弟は陸上をやめていた。朔は良い青年である。弟は素直になれず投げやりな言葉をはく。そこに絡む母。絶対に言ってはいけない言葉を、一番投げ掛けてはいけない人に言ってしまう人がいるけれど、母は正にそんな弱さを持つ。自分の気持ちをもて余し、誰かを傷つける。その母親に気持ちがざらついて仕方がなかった。話の〆はなかなか。終わり方が良かった。2020/07/30

ゆみねこ

107
兄・朔は視力を失い、弟・新は走ることをやめた。高速バスの事故に巻き込まれ、そのバスに乗る原因を作った弟。ブラインドマラソンを始める朔は新に伴走者を依頼する。兄弟だから分かりあえるのか?親子の心はどうなのか?とても難しい問題を綴られた1冊、「車夫」の吉瀬走が登場!これ、続編あったら読みたいです。2020/03/01

エピファネイア

93
いとうみくさん初読み。図書館の児童書コーナーにあるY.A小説だけど大人も楽しめる。朔と新は兄弟。バスの事故で突然の失明という運命を背負った兄・朔、お前のせいだと母親から責められる弟・新。絶望していた朔はある出来事をきっかけに少しずつ前を向くようになる。新を誘って始めたのがブラインドマラソン。兄弟ともに葛藤がありながら周りの人のサポートもあって大会出場を目指す。母親の無神経な言葉の暴力に苛立つが、朔の彼女アズの優しさと新の同級生希美の明るさに救われる。清々しい青春成長ストーリー。兄弟の前途に幸多かれと祈る。2024/12/25

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