内容説明
“聖杯探求”の物語あらゆる西欧ファンタジーの源泉いよいよクライマックス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
40
聖杯探求の巻。ただ、ガラハッド卿誕生の顛末に絡めてトリストラム卿とパロミデス卿の物語にも一応の決着が付けられてひと安心。パロミデス卿がトリストラム卿に洗礼を受けられるようにと願う場面は、彼らの間の様々な複雑な感情の一つの終着点のようでよかったです。聖杯探究の部分は、先日読んだ『聖杯の探索』と比べて文量が少ない分、物語の持つ宗教的な神秘性は失われてしまったように感じましたが、展開がスピーディになってテンポよく読めました。ボース卿が帰還して最終巻へ。「世俗の生はすべて〈はかない〉のだということをお忘れなく」。2017/10/25
em
15
ラーンスロットも肌着のみの姿で出奔とは、名高い騎士の試練は厳しい。そしてついに聖杯探求のため騎士団を送りだすアーサー王の悲しげなこと。ここまでは騎士道と言いつつわりと好き放題だったのが、聖杯探求にふさわしからぬ罪とされ、続々と悔い改めていくのが少し寂しかったり。一方で聖杯探求を達成する高潔三人衆にも感情移入していました。この流れの話は山ほどありますが、人の業に満ちた前半が、後半の改悛への布石という以上に、書く方も楽しんでいると思えるものが好き。2017/11/27
明智紫苑
9
私だったら、屈原の話に出てくる漁夫の言う通りにしたいや。「世俗アレルギー」って結構しんどいよ。それはさておき、この聖杯探求のお話って、要するに『西遊記』のキリスト教版みたいなものだよね。ギャラハッド=三蔵法師で、パーシヴァルが孫悟空だな。では、ボースは誰の役なんだろう?2017/01/21
cockroach's garten
8
今回は聖杯探求物語が中心に繰り広げられてゆく。が、相も変わらず登場人物が多く、淡々とした文体から、目まぐるしく続いてゆく物語。私はキリスト教のことは全く知らない。それ故、これを読むのが苦痛極まりなかった。読後、漸く解放されたという達成感と共に、蟠りが心底から抜けきらなかった。2016/05/05
マーブル
7
とうとう聖杯の物語が始まる。 この聖杯物語はフランスの本からの翻訳である。全体にそれまでとは違った雰囲気である。よりキリスト教的であり、より奇蹟的である。 聖杯探求の冒険が始められるが、それはこれまで語られた騎士たちの冒険とは色合いが異なる。冒険そのものに資格が問われる。円卓の騎士たち全員が出発するが、ほとんどは冒険自体に出会うことはできない。 資格とは純潔さであり、宗教的な罪のなさである。 その聖杯探求の中心となるべくして登場するのがガラハッド卿。ラースロット卿の息子である。2019/06/07