内容説明
吹き荒れる一向一揆。交錯し、渦巻く愛憎! ――混沌の時代、民衆は、ひとりの男の言葉にすがり、縁をむすんだ。しかし、一向一揆の嵐は容赦なく、蓮如とその家族、弟子たちを、思いもかけぬ相剋へとみちびく。隆盛へと向かう、教団の栄光の陰に潜む孤独。ひたすらに弥陀の本願を信じた果てに、蓮如の眼に映じたものは……。精緻な考証と大胆な描写で、傑僧の生が甦る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
内藤銀ねず
15
三が日の間に読み終えられて、お腹いっぱい。下巻はますます準備が必要。細川政元や斎藤妙椿の名前すら出てくるので、呉座勇一さん『応仁の乱』がまるで副読本のような。さらに蓮如が遺した「御文(おふみ)」について、現代語訳と原文とを効果的に引用しているのがステキ。読者が身構えて立ち止まらないように現代語訳を多めにして、ここぞというところに原文ママ。蓮如の年譜と、その肉声である御文とを並べてみて、蓮如の思いを浮かび上がらせる手法は腕の見せどころ。私にはこのタイミングで読むのが「業縁」だったように思います。面白かった!2022/01/03
うたまる
1
歴史上の人物の伝記の中で、これほどイメージと異なる人はいなかった。一言で表すのは難しいが、敢えて称するなら”大欲の人”。もちろん宗教人として教義上の功績もあるが、そんなことを忘れさせるくらい圧倒的に卑俗な人だった。SEX依存症を疑うレベルの好色、現代の似非宗教も真っ青の拝金主義、親鸞の平等思想を無下にする上流志向、部下や信者を容赦なく切り捨てるワンマンぶり。これらゲスエピソードの数々が史料から明らかにされている。それでも蓮如と浄土真宗は勝った。並み居るライバルたちに勝った。経営組織論上の良き考察材料だな。2017/12/14
Ryuji
1
★★★☆☆上巻よりもこの下巻の方が断然面白かった。後の戦国期の一大勢力となる宗教集団の基礎を作った人とは思えないほど人間味溢れる人物として蓮如が描かれています。蓮如の文書が原文どおりではなく、著者により現代人でも分かるように書かれているのもまた読み易くて良い。それにしてもこの蓮如、27人もの子供がいたとは・・・恐れ入りました。2013/04/08
とも
1
結局はだるだるの伝記。2010/11/13