内容説明
『ヒルビリー・エレジー』では決して描かれることのない悲哀……。トランプ政権下のアメリカ、もうひとつの今。あらゆる局面を「取り引き」になぞらえる今日のトランプ政権下にあっては、アメリカ先住民社会もまた、かつてない苦境に立たされている。ネイティブ・アメリカンは何を守り、何を奪われてきたのか。貧困、ドラッグ、アルコールに染め抜かれたコミュニティを通して見える悲哀、アメリカ社会の実相に迫る。開拓者精神、古きよきアメリカ、正義の国……。今日の米国が掲げる「理想」によって徹底的に踏みにじられてきたのが、先住民の存在だ。無二の研究者が交流を通じて記録したノンフィクション。
目次
はじめに ──声なき民族の抵抗
第1章 砂漠を生きる知恵 ──モハベの哲学
第2章 フェイクな「アメリカ」 ──「移民の国」のつくられ方
第3章 壁とカジノとトランプ ──先住民からみたアメリカ社会
第4章 言葉を守る民 ──ストーリーが紡ぐ世界
第5章 癒されない魂 ──イメージと現実のはざまで
第6章 天国にちかい部族 ──プエブロ族との日々
あとがきにかえて ──店番失格
主要参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ち~
34
かつて、居留地へと追い込まれ白人化教育として名前、文化、言語を奪われてきた先祖達。そして深刻なドラッグ、アルコール中毒、貧困に悩まされる現状や、差別を受ける一方でロゴマークや大学入学時のマイノリティ枠取得など、利益のために利用されたり、文化や言語を次世代に伝える難しさなど、現在かかえる問題などがよく分かる。なかでも、トランプ政権により将来への不安が高まっている様子が書かれた第3章は印象的だった。2020/03/26
よきし
5
長期にわたってアメリカのネイティブ・アメリカンの居留地に入り、そこで生きる人々と深く親交を深めながら、彼らを知ろうとし、同時に寄り添ってきたことがよく分かる一冊だった。そしてアフロ系以上に過酷な差別と暴力と絶望の中を生きる彼らの状況と、その中で近代と自分たちの伝統の狭間でその誇りを大切にしたいという気持ちが印象的だった。2022/04/22
史
3
第一章の、 > 「大事な決断を下すときに、『本当にそれでいいのか?』と親友ヅラしてたずねてくる奴を信じるな」 > 「『もう少し早ければ』というのは、実際にはなんのやくにもたたない輩が、善人ぶっているときに使う言葉で、打ち明けられるまで相手の窮状を理解しようとしない、最初からなにもする気がない人間の常套句だ。砂漠では、そんなカッコつけている暇があったら、早く何かやれ、というのが鉄則だ」 などを筆頭に、その先住民の美学哲学的な話は膝を打つが、極端なアンチトランプ話が所々に挟まれていて……2020/02/10




