内容説明
皇太子の寵愛を受け、ボヘミア王国で暮らすアイリーン・アドラーのもとを訪ねたペネロピーは、親友が窮屈な思いを抱えていることに気づく。やがてアイリーンはボヘミア宮中で進行する陰謀に巻きこまれる。真実を突き止めたのち、皇太子に真意を告げられた彼女はある決意を固めるのだった。舞台はボヘミア王国からヨーロッパ大陸を経由してふたたびイギリス、ロンドンへ。偉大なる名探偵ホームズを向こうにまわし、美貌と才知を兼ね備えたヒロインが大活躍する、ヴィクトリア朝推理冒険活劇。「ボヘミアの醜聞」の真実と失われた宝石捜しの顛末。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひめありす@灯れ松明の火
24
表紙がこの本はとにかく可愛いんです!ホームズさん格好良すぎで、ちょっぴり間抜け顔のワトスン君も可愛いのです。上巻も同じ構図でそっぽ向きのアイリーンとちょっぴり間抜け顔のネルのコンビだったので、二つ並べると至極極楽な感じがするのです。アイリーンとゴドフリーの逃避行はネルの立場から見ると何とも言えず悲しいです。だって、ネルも絶対ゴドフリーのこと好きだったと思う……。この後の彼女の行方も気になります。本家『ボヘミアの醜聞』は児童書で読んで以来、御無沙汰ので久々に読んでみようかな。また、この続きもあるなら楽しみ。2012/01/08
宇宙猫
18
★★★ ネルがプラハにいるアイリーンに呼ばれるところから始まる。ボヘミア国王とアイリーンの関係、ノートンとの結婚、英国から去った理由を描いている。上巻よりはましだけど、やっぱりネガティブな文章が好きじゃない。D2022/07/07
鐵太郎
15
実在・虚構入り乱れた登場人物の中で、個人的に注目したのはアントニン・ドヴォルザークでしょうか。チェコ国民楽派の作曲家として名を残す人物ですが、彼を介してアイリーンの活躍の場が広がり、そしてボヘミア皇太子との出会いとなります──このあたりの歴史的整合性はともかく、彼が王となったときなぜアイリーンは彼から逃げたのかの説明が見事。そして「聖典」で有名な本の題名の台詞へと至る。なるほど、こう来たか。 ──しかし語り手のネル(ペネロピー)は、残酷なまでに主役にいいところを奪われます。この結末は誰が楽しいのだろう。2025/02/12
ちげー
13
下巻は、あまり冒険のないお話でした。 こじつけで終わったような終わりで、上巻の面白さが半減してしまいました。2019/04/16
みやび
12
アイリーンが幼すぎて品を感じられないのが残念ですが、ネルと比べてしまうからかもしれません。でも「ボヘミアの醜聞」に近づくにつれ読むスピードが上がって、アイリーンが牧師を家にあげるとこなんか「ひっかかった!」って興奮しました。正典との矛盾点を解決する「結び」も面白かったです。次はネルが幸せになりますように。2024/02/17