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内容説明
稀代の医療革命者の決定版評伝。
徳洲会は巨大で不思議な病院グループである。年商は4201億、職員数3万8000人、病院数71、1日の平均入院患者数1万7300人、外来患者数2万4000人(2017年6月現在)。かくも巨大な病院グループを、徳田虎雄はいかにしてつくりあげたか。
それは「たった一人の反乱」から始まった。高度経済成長のまっただなか、大都市圏でも夜間の救急患者を受け入れる病院は極めて少なかった。アメリカ帰りの徳田は、そこに単身乗り込み、年中無休、24時間誰でも診ると宣言。「日本中に病院を建てる」とぶち上げた。患者を奪われると恐れた医師会の妨害、国政選挙への挑戦を経て、巨大病院グループを築いた徳田だったが、既得権益を持つすべての存在が、彼の敵だった。選挙違反やグループの内紛、資金繰りと外資との相克、そしてALSという大病。次々と襲う困難にも、徳田は強靭な意志で立ち向かう。この男の戦いの軌跡を追う決定版評伝。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hatayan
40
日本有数の医療法人「徳洲会」を一代で築いた徳田虎雄の評伝。2017年刊の『神になりたかった男』の増補版。 徳田を選挙で当選させるために参謀が組の幹部と対峙する冒頭、iPS細胞の山中伸弥が徳田に憧れて医師を目指したエピソードが追加されています。 もの悲しさを覚えたのは、徳田が医療から政治に軸足を移したあと、阪神大震災の救援の際に精神論を述べることを部下が痛々しく見る場面、徳田が病に倒れたあと徳田一族が右腕を切り捨てる場面。成熟した組織が時代に適応しようとする過程では痛みを伴うことがあると教える一冊です。2020/02/13
さきん
27
徳洲会は大きい病院の組織くらいの認識しかなかったが、創設者の人生から出身地、徳之島の歴史、文化、何が消え、何が残るかが鮮明に浮かび上がってきて楽しく読めた。医療の地理的不平等を解消しようという理念は生き残ったが、お金で政治を動かす、能力に値しない家族が経営、政治に関わろうとするという不純な動きは残らなかった。2020/05/06
西
26
面白かった。医療関係に関わっている身として、当然徳洲会のことは知っているが、一代で0から日本最大の医療グループを作り上げた話は面白い。貧富関係なく平等な医療を目指した点と、権力を求めた点、この二面性が人間として、好き嫌いは別として惹きつけられる。カリスマ性なのだろう。そしてALSにかかってからの生命力、エネルギーが尋常じゃないなと。自分の命を担保に銀行からお金を借りる話など、やはり飛びぬけて上にいく人はリミッターというか、恐怖感の目盛が壊れてるんだろうと思う。今、徳田虎雄さんは何を思っているのだろう2020/02/02
DEE
15
猪瀬前都知事の辞任でこの人物を知った。閉鎖的だった医療界に風穴を開け「命だけは平等だ」の旗印の元、年中無休24時間診療をぶち上げる。さらに医師会を向こうに回しひたすら新たな病院を建て続ける。 一方で権力欲も旺盛で政界に進出し徳洲会はさらに肥大化していく。 病院経営にも選挙にも莫大な金がかかる。金がなければ何も達成されない。綺麗事でなく、彼はそれを本能的に理解していたのだろう。聖悪が激しく混じり合う心を持った彼はALSを患い、もはやその口は何も語らない。 善悪という規準も彼の前ではあまり意味はないのかも。2020/02/05
スプリント
10
功罪評価が分かれる人物ですね。2020/12/29