内容説明
結婚をめぐって揺れ動く女心をきめ細かに描き、高雅な香りあふれる短編小説集。忍ぶ恋に悔いのない生き方を想い、密やかな愛のなかで男の優しさを求める女の心情。「幻の辻ケ花」と呼ばれる家康着用の小袖を、京都・南禅寺でかつての恋人とともに見る知佐子を描く表題作など、現代の女の生き方を問う名品8編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
みなみ
12
Kindle読み放題で見つけた芝木好子は好きで何作か読んでいる。戦前から昭和の女性を主人公にしていて、芸術や手工芸にかかわる作品も多い。この短編集は一作一作が短くてすぐに読み終わるが、どの作品も女性の感情が印象を残す。市井の女性の細やかな生活や感情のあやの表現にリアリティーがある。表題作の「京の小袖」は昔つきあっていた男の頼光(しかし彼は彼女以外の女性と結婚して、妻は病死した)に連れられて京都を旅する知佐子の物語。知佐子自身も染色をしており、頼光の実家で年代物の着物を見せられるが、この場面が鮮烈だった。2023/11/23
シーラ
2
[Kindle Unlimited]Kindleさんのオススメから好きになった作家さん。やっぱり乙川さんに似てると感じるが、こちらは女性の目から女性が描かれて余韻を残す。生きる女のあてどなさ。2025/06/14
山内正
0
キレイなシャツ来て電車は早目にね兄さん 母の手弁当渡しなごら首を振った 病気上がりで辛いと分かってるが この四年どんな思いで生きてきたか私 小さな新聞社で働き年嵩になる 夜はスタンドバーで働く関と客が酔って話し掛ける 妻と別れ子を母に面倒見てもらってる もしこの人の妻になったらと空想する 三年振りに元上司が来た 兄は良くなったと返事をする私を老けたと 見てるのかも 店の外で待ってた 寿司屋に入りビールを 時々こうして会わないかと誘う 仕事先でこのまま勤めれば本雇いすると 私の言い方が気に入らないと怒る 2023/06/03
山内正
0
夕方の買物にゆっくり歩く女がいる 年格好も似てる、何の特徴なく紀子は通り過ぎる 二年海外出張へ夫が出た 貯金してこの団地を出ようと思う 一年は長く毎日夕方の買物に下着売り場へ 落とした品物を拾う時その女が籠に滑り込ませた 外の舗道に出た 呼び止められるかと そのまま団地に向かい急に曲がった 帰った子供か石鹸箱を握ってた ゴミ焼き場に落ちてたと 捨てなさいと子供に 夫から長い手紙に一年延びると書いてある スリッパをどれにと決めかね 食品売場へ買物済ませ帰ると 袋の中に赤いスリッパに値札が付いてる 覚えがない2023/05/06
山内正
0
土曜日だけ浅見のアパートへ行く事に 上司から縁談が進んでと噂を知ってる 訪れるのはこれきりにしようと思う 二十四五でピアノ弾くと話す 次回会っても話す事がない 真顔に変わり まゆみ君が大学でてから一緒にと 私は今の儘がいいと何も変わらないのが 義姉に来てくれと 娘に男がいるしかも子供がと苦しげに話し出す 主人も私も娘を見捨てたと 悪意な顔で私は聞いていた お体裁やの母がよく喋りましたねと娘は 疎ましく話す ずっと父と母が嫌いでした風呂の付いた家に住みたいと 若い母親の力強さを羨ましいと思った 2023/04/08
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