出版社内容情報
【目次】
内容説明
ニセコにあるインク専門店〈マツカリヌプリ洋墨堂〉の店主・七虹は相手の心に浮かぶ色が視える。そんな彼女が作るオリジナルインクは、お客の思い出をブレンドして忘れられない“色”を再現するという。「もう一度、あの色を見たい…」お客の願いを叶えるため、七虹は記憶に纏わる想いに寄り添い、色をめぐる謎を解き明かす。
著者等紹介
太田紫織[オオタシオリ]
1978年、北海道札幌市生まれ。2012年、小説投稿サイトE★エブリスタで発表した「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」でE★エブリスタ電子書籍大賞ミステリー部門(角川書店)優秀賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
糸巻
25
江戸切子の見習い職人・三雲は祖父の工房から逃げるように北海道を旅行中、不思議な黒猫に誘われニセコで〈マツカリヌプリ洋墨堂〉を営むインクブレンダー・七虹(なな)と出会う。成り行きで七虹の家で居候の身となり…。インクブレンダーという職業を初めて知った。七虹は人の心の色彩が見える力を持っていて、客の想い出に寄り添い唯一無二のインクを作る。彼女と生活を共にし惹かれていく三雲がこの先どうするのか気になりながら読んだ。朝焼けの羊蹄山やガラスペン、北海道の食べ物など気になるものが沢山。思わず検索してしまった。2025/07/18
よっち
16
北海道ニセコ町を舞台に、ガラス職人として行き詰まり、故郷を出て北海道をあてもなく旅する三雲勇悟が、インク専門店の店主・望来七虹と出会う物語。トラブルの最中で黒猫に導かれ「マツカリヌプリ洋墨堂」にたどり着き、亡夫のガラスペンを割ってしまったことから、代わりの品を作ろうとする三雲。離れた父に複雑な思いを持つ女性や、大好きな祖母がくれた大切な色を思い出す大学生、家族愛に迷う愛情深い男性といったエピソードも絡めながら、思い出の色を再現する七虹を見て、三雲自身も少しずつ自分自身に向き合う結末はなかなか良かったです。2025/08/04
小梅さん。
6
思い出の色をインクにしてくれるって憧れる。 店主七虹(なな)さん、その能力ゆえもあってか、ちょっとユニークな性格。猫のようなまばたきをする、という表現が何度もあって、実はヒトでないまで深読みしちゃったw 彼女の夫との関係もちょっと不思議。 ひょんなことからそこに滞在することになった三雲。 いろんな思いを抱えてやってくるお客様の想いを映したインク。私なら、どんな色を選ぶのだろう。 そのお客様の1人が、別シリーズの彼女だったのがちょっと嬉しい。 最終話に登場の桑原氏もなかなか魅力的だった。 シリーズ化希望。2025/07/23
ゆり
1
推しの色でインクを作ったり、思い出の色でインクを作れるのが素敵。ガラスペンも想像するだけで楽しい。要所で出てくる北海道の景色の描写も綺麗でうっとりしました。同じようなインクが出てくる『銀河ホテルの居候』や『メディコペンナ』よりは出てくるインクは少なめですが、商品を紹介するというより、その人の思い出にあわせた昔と今をあわせた色を作るというところが、既存のインクが出てくる小説とは違うかなと思いました。私も思い出の景色やものの色をインクにして残しておきたくなりました。2025/07/13