内容説明
昭和111年、医療革命によって死が克服された日本。人間が異形化する「ヒューマン・ロスト」現象により人類を滅ぼさんとする堀木正雄のかつての部下・西園寺省吾は、存在しないはずの「寿命以外で死ぬ若者」に出会う。その姿は戦争で若者が死なない世界を夢見た記憶を思い出させるのだった。SFアニメ『HUMAN LOST 人間失格』の過去を浅生鴨が創案するオリジナルストーリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みどり
7
映画になる前、前作のどうして、そこに至ったか、のお話。 昭和111年ってちょうど今頃なのよね、と思いながら、 生と死の本来の区別について考えるにもいいころあいの、これもまたサクサク読める1冊。 これを読むとまた1冊目を読みたくなる、というか激情版が観たくなる1冊です。2020/01/04
HANA
6
本編の過去ストーリー。本編読んだ後だったからかもしれないけれどこっちの方が入りやすかった。死生観についてはなるほどと思える内容。2020/02/28
まどれーぬ
2
HUMANLOST の前日譚。 堀木正雄の部下、西園寺省吾視点の物語。何故堀木正雄がSHELLの崩壊を目論むようになったかが描かれる。 ロスト発生現場で、西園寺はゴーストと呼ばれるネットワークに属しない人間に出会う。ゴースト達は既にネットワーク下にいる人間達が失った免疫力を有しており、西園寺はこの力が有益ではないかと着目する。 容赦の無い物語。 浅生鴨さんがこの世界をどのように描くのか気になっていました。 財力と権力を持った老人達が生き延びる為に若者から搾取する構図は、現在にも通じるものだと思います。2020/06/19
冷やしたぬき蕎麦はじめました。
2
いやぁ、映画自体が相当年寄りを殺せ的な内容なだけに、このオリジナルストーリーはもう、若者以外は老害でしかないという前提で話しが組まれているのがなんとも…冲方丁も50歳になったら自殺するんですかね?ゲーム業界なんかだと20代からすると30歳以上は老害扱いなんだが…若者には可能性があるというのを免罪符にしてるけど、研究職の人の発明なんて10年以上40年なんて人もいるのにねぇ、年齢じゃなくて個人の能力だと思う。若くてもダメな人はダメでしょ、2019/12/25
くろう
2
劇場アニメのサイドストーリー。全ては百年前、「二・二六」から始まった。昭和111年、死が克服された日本。一人の女性のロスト化をきっかけに、道を違えた二人の男。堀木と、堀木のかつての部下・西園寺。堀木視点かと思いきや、物語は西園寺視点で進んでいく。人は、いつか必ず死ぬもの。人間らしさとは一体なんなのか。人間が死なない世界での生死感とは何かを考えさせられた。2019/12/10