出版社内容情報
丹那トンネルは大正七年に着工して数多くの犠牲者を出しつつ完成までに十六年を要した。この歴史的な難工事の内幕を描く長篇小説
内容説明
丹那トンネル―驚くべき自然の猛威。トンネルが伸びてゆくにつれて地表からは豊かな水が姿を消し奔流となって坑内に噴き出した。自然との闘いの中に人間を深く見すえた力作長篇小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
detu
21
大量の湧水に悩まされ進まぬ工事。丹那盆地では渇水始まる。北伊豆地震、活断層交差。満州事変、五一五事件。国際連盟脱退。世情不安な中、昭和7年遂に導坑貫通。昭和9年完工、12月1日営業開通。15年11ヵ月10日の大工事はトンネル技術の向上にも繋がった。枯渇騒動は函南事件の暴動となり警察の手に。戦禍の拡大は次なる高速鉄道計画、新丹那トンネルへとなるも戦争優先で頓挫。戦後の新幹線計画へ繋がる。トンネルは国民の悲願でもあったが現地の渇水被害は相当深刻。開発と自然破壊は裏表。小説と言うよりドキュメントルポルタージュ。2021/04/26
クラムボン
13
下巻は水との戦いだ。熱海口・三島口共に、ある地層に達すると大量の湧水が発生…水の量は芦ノ湖三杯分にも及んだ。特に緑色の粘土層(温泉余土)が水分を吸うと著しく膨張する。土圧を受けて支保工の鉄材がグニャリと曲がる。解決策として本坑に並行して水抜坑を掘ることに。一方トンネル上部の丹那盆地でも異変が起きた。清流が走り水車が回る豊富な水を抱えた地が、完全に干上った。人情穏やかだった住人が「水返せ」と、修羅となり徒党を組んで建設事務所に押しかける。そしてそれら一部始終を読者に語りかける作者の熱量もまた凄まじい。2023/09/13
tai65
2
星5つ2019/01/06
getaya
0
☆☆☆☆2016/04/30
sennbei
0
水が枯れた地域の人達、工事関係者、ものすごい話2020/12/15