内容説明
男はなぜ闘うのか? 私は何と闘うのか?
ひとりのジャーナリストが、身をもって経験した 「男らしさ」の意味。
女性として生まれた著者。しかし心の性と体の性が一致せず、30歳の時に男性になる。ただ、外見は男性になったものの、社会で「男らしく」行動するとはどういうことか、かえって悩むことに。そこで、最も男らしいとされているボクシングの世界を見ることに決め、アマチュア・ボクシングのチャリティーマッチに思い切って応募する。「男らしさ」、そして「男性」とは何なのか? 男性としても、ボクサーとしてもまだ歩き始めたばかりの自己を見つめたノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
224
表紙の強烈なインパクトに惹かれて手に取った。ジャーナリストの著者が、テストステロンの注射で性転換し、マジソン・スクウェア・ガーデンのリングに立つまでを追った自伝作品。個人の性に対するトラウマもさることながら、アメリカ社会における「男らしさの危機」も描かれている。2001年から2011年にかけて、アメリカで消費されるテストステロンの消費量が3倍に増えた背景に、その「男らしさ」を強調するキャンペーンがあったという。本文に何度も出てくる「本物の男(リアル・マン)」とは? を考えさせられた。2020/11/14
たまきら
39
邦題と表紙の写真のせいで、読むとちょっと戸惑うかもしれません。だってこの本は「白人男性になろう」と決めたトランジェンダーの「私」が真の「男」を真摯に模索する苦悩の姿のお話だからです。無理して男になろう、男はこうあるべきだ…と苦労しているのはトランスジェンダーの人々だけではありません。みんななにがしかのステレオタイプに苦しみ、そこにあてはまった人生を送るよう苦悩しているのです。この本の読後感がとてもあたたかかったのは、彼が最後に体得したものがステキだったから。自分らしく、を全ての人に。2020/01/25
くさてる
23
題名から想像するのは、「男」になりたかったトランスジェンダーの著者が、まさに「男」の象徴というべき憧れの「ボクサー」になるまでの悪戦苦闘やつかみ取った栄光。そういう事前の予想は見事に覆されました。女性から男性になり、そこで目の前に突き付けられる「男らしさ」の欺瞞やリアルな現実とどうやって向かい合っていくかというシリアスな問題についての著者の自問自答が続く内容でした。それが素晴らしかったです。著者の姿勢はあくまで誠実で、迷っていて、正直で、読んでいて引き寄せられました。良かったです。2019/10/27
こけしだ
12
女性に生まれ、30歳で男性となった著者。ジャーナリストでもある彼は、冷静に自分自身を見つめながらボクシングのリングに立つことを目指す。「男になるまで、知ったかぶりをすること、初心者なのに上級者のように振る舞うことを知らなかった。その必要がなかった。」男性になったことで、会議で意見を通しやすくなったり、周囲からの信用が増していくのを実感したという。私も女らしさで悩むことはあったが、男性が男社会で生きていくのは想像以上にしんどいのかもしれないな。自分の性のマイナス面ばかりに目を向けがちにならないようにしたい。2020/10/16
貧家ピー
11
トランスジェンダーの著者が、30歳で男になる事を目指した。ホルモン治療などで、外見は換えることができたが、 「男らしさ」とは何か?という問いに、ボクシングを通してぶつかった。題名と用紙のインパクトが強いだけに、想像した内容とは少し違った。 2021/02/02




