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内容説明
学習指導要領の改訂や大学入学共通テストへの記述問題・民間試験導入で大きく揺れ動く国語教育・英語教育。本書では、この危機の時代に、国語と英語という「ことばの教育」にはそもそもどんな意味があるのか、そしてどうやって「ことばの力」を鍛えるのかを、それぞれの分野の専門家三名がリレー形式で思考する。私たちの思考の根本をつくるのは「ことば」である。その教育が、子どもたちの未来をつくる。「ことばの教育」を考えることこそが、いま大切なのである。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
80
国語をきちんと習得したうえで英語教育をしないと、砂上の楼閣になってしまう。その意味で今の受験偏重の教育制度は誤っているどころか、ますます迷走の一途を辿っている。また、大村はま氏のお名前をお見掛けしながらもこれまで手に取ってこなかったが、本書を読んで教育者の原点として興味がわきました。2019/12/09
mizuki
34
わたし自身が複雑な思考を進めるためのことばの力を十分にもっていないため、何かヒントを得られればと思い、手にしました。ことばに目を向ける習慣をつけることや、学び方について、分かりやすく丁寧に書かれています。「教える」ことの本質も大変分かりやすく、子どもへの教育についても考えさせられました。2020/06/11
ぷりん
19
「普通に庶民が難しいことばでなく、程度の高いことも論じていける」普段着の言葉を大村はま先生から教えてもらった人が書いただけに、この手の話はなかなか読み終わらないけど、あっという間に読むことができました。教え子に語ってもらえる大村はま先生は本物だと思った。大村先生の本を読んでみたい。「教える」は形だけでなく、実際使える形で身に付けさせることなのだ。教師がことばの力を鍛え続けなければならない。ことばの力≒考える力。ちょうどよい手応えのある課題、優れた材料と方法。考えなければならない。2020/05/30
tamami
16
英語教育、国語教育、社会学を専門とする3人が、わが国のことば教育のあり方について、対話ならぬ対書(交互に論文を提示し合う)という形で論じたもの。内容的には、小学校から大学のそれまでを対象としていて、かなり高度な事柄が論じられている。大村はまという稀代の国語教育実践者の具体的事例が随所に挙げられていて、わずかに理解を助けられる。小学校2年生の国語教科書で典型的な教材としてあげられている「スイミー」の谷川俊太郎訳についての解説では、漫然と読んだだけでは気づかない指摘があるなど、面白い事柄も散見される。2020/02/17
寝落ち6段
15
小学校で英語が教科となった。母語である日本語を大切にしながら外国語である英語を学んでいかなければならない。指導要領が改訂され、「主体的・対話的で深い学び」を目指すのだが、そもそも対話的であるためには、相当の語彙力と相手の意を考える力、それを伝えるために語彙を選ぶ力、それを組み立てる文章力などが必須となる。国語と英語は当然だが、社会、理科、数学、体育などにもことばは関わる。だからこそ、「ことばの教育」の意義が強くなっている今こそ、根源的にことばの力を見つめ直す必要があるのではないか。2020/06/27