内容説明
尾木ママ絶賛! 話題の中学校長、初の著書。
いじめや校内暴力が消え、平均学力や有名校への進学者数も区のトップレベルに――私立中学進学率の高い東京・世田谷にあって、「越境してでも行きたい」と人気の公立中学は、現場叩き上げの校長が“子どもたちから教えてもらったこと”で紡ぎ出した、笑顔あふれる学び舎だ。
同校の目標はただ一つ、「すべての子供たちが3年間を楽しく過ごせる」こと。
子どもたちが自ら考え、導き出した「やりたいこと」を実現させるために、教員らは最大限サポートをしていく。
そうしてたどり着いたのは、校則や定期テスト、チャイムの廃止、服装の自由化など、普通の中学校では“当たり前”とされることからの解放だった。
注目を集めるインクルーシブ教育や学びのユニバーサルデザイン化、非認知能力を伸ばせる環境、すべては“まず理論ありき”ではなく、子どもの特性を踏まえながら、必要に応じて導入された。
不登校への取り組みや部活の改善、さらには教員のあり方の見直しまで、なぜそれが必要なのか、過程や理由も、初めて明かされている。
大切な幼少期の子育て術をはじめ、難しい思春期特有の家庭教育のヒントも満載。新しい教育の書になっている。(2019月11月発表作品)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きみたけ
70
こんな学校が近くにあったら良いなと思いました。著者は世田谷区立桜丘中学校元校長の西郷孝彦先生。同校校長就任後、生徒の発達特性に応じたインクルーシブ教育を取り入れ、校則や定期テスト等の廃止、個性を伸ばす教育を推進。「すべての子どもたちが3年間の学校生活をいかに楽しく過ごすか」を念頭に、生徒の自主性を重んじてきた結果だという。校長先生の信念を貫く力、それに賛同した教員の方々の忍耐力、保護者や周囲の協力があって成り立つ素晴らしい「化学反応」だと感じました。ぜひ全国展開して欲しいですね。2023/12/20
アイシャ
41
ただただこういう中学を作られた作者のことを、凄いなぁと思う。公立中学をこれほど自由な姿に出来るとは、その柔軟性と実行力に脱帽。校則を無くし、定期テストを無くしたからといって、法律はあるし、細かい小テストはある。傷害事件や窃盗事件が起これば、警察に連絡される。恥を隠すための隠蔽体質がない。学ぶための創意工夫も豊か。羨ましいなぁ。こういう学校で学校生活を送ってみたかった。作者の指摘していることは子育てにも言えること。反省することが多いなぁ。2022/06/28
ムーミン
38
柔軟な発想、深い愛情に支えられた楽観的だが見通しのある戦略。子どもたちにもともと備わっている純粋な心や伸びたい意欲を信じて疑わない覚悟。とても勇気をいただいた。時代、世の中の状況、本校のもつ地域性や子どもたちの特性などなど、いくつもの変数を調整しながら、難しいけど解きがいのある方程式を、粘り強く解いていきたい。2020/02/03
まさ
34
「なぜ?」から始まる教育。わからないところを白黒つけるというより、合意形成をしていくことが大切なのだ。だから、納得して、あるいは"しょうがねぇなぁ"という姿勢で日々臨める。子どもも社会の構成員であるというきちんとした捉え方ができているから、実践が学校全体に浸透していくのだろうな。2020/05/17
小鈴
31
素晴らしい。小学でもなく高校でもなく統制が強まる「中学校」でこんな学校があるとは。日本の公立であってもこんな自由な学校をたった10年で可能にしたことに希望をもった。上からの教育思想や理念ではなく、他国を真似たわけではなく、日本の中で目の前の子どもたちと一緒に変えていった。生徒の変化はもちろんのこと、ゴリゴリの体育会系の先生も変わっていった。先生達の手記も読んでみたいな。管理ではなく、子供がやりたいと思うことをさせる環境を整えるだけで子供たちは開いて伸びていく。三河の全教員に配布したい(笑)。2019/12/16