内容説明
明治二十三年、ミナこと皆川真次郎は西洋菓子店を開いた。店には、旧幕臣の「若様組」の面々や、女学校に通うお嬢様・沙羅が甘い菓子と安らぎを求めてやってくる。しかし平和そうに見える世の中に、不穏な空気が漂いはじめていた。数年以内に“戦争”が始まるかもしれない――。
明治になって現れた「成金」のひとり、小泉琢磨は、戦へと突き進む一派の意向を押さえるべく動いていた。が、このままでは開戦派のやりたいようになってしまうという懸念から、今いる仲間以上に人を集めようと考える。
その秘策がなんと、「若様たちのお見合い」だったのだ! はたしてその成り行きは――?
目次
園山・運動会
小山と小沼・川開き
加賀・百花園
長瀬・居留地
真次郎・亜米利加
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
53
面白かったです。ロマンとはお見合いのことだったのですね。若様はじめ、まわりの人たちが次々とお見合いをしますが、策略込みというのが時代を感じさせました。一筋縄いかない縁談でしたが、まとまったものもあるのがめでたいですね。2021/10/22
dr2006
43
畠中恵の明治ワールド全開の若様組シリーズ第三弾。江戸時代に旗本で幕府側についた家の当主たちは、維新により警察官となった。軍部が戦争を画策し始めた明治20年代、歴史に詳しくないが、当時の世に生きた人々の無鉄砲だけど粋なエネルギーを感じる。若様組の面々と懇意の成金小泉家のご当主は戦争に反対している。彼は、若様組と実力ある名家の娘とをお見合いさせ、縁組によって実力者の同志を増やすという。ところが事はそう上手くいかず、警察につきものの事件が起きる。明治時代にタイムスリップできるエンタ作品⤴面白かった。第4弾切望!2025/06/11
ユメ
36
開戦へ向かう動きを察知した御当主は対抗措置に打って出る。それは何と若様たちのお見合い!婚姻で味方を増やすのは古来からの常套手段。だが、時が明治へと変わり、若殿から貧乏巡査になっても明るく邁進する若様たちのエネルギーと、文明開化の勢いの融合がこのシリーズの空気を作っていただけに、彼らが旧時代的な政略に巻きこまれるのが哀しい。多分、私がこんな風に感じてしまうのは、この先日本が戦争を避けられなかったことを知っているからだろう。時代の歯車に組みこまれつつも懸命に己の手で明日を掴もうとする若者たちに、どうか幸あれ。2018/10/05
テツ
31
戦争に向かいきな臭くなる日本。争いを避けるために味方を増やそうとする小泉琢磨の意向により見合い話を持ち込まれる若様たち。明治の世で苦労して警察官になった旧旗本の子息である彼らにも旅立ちのときが。良い意味で全く重苦しくない物語は仕事が終わった後の平日の夜でも気楽に読める。娯楽小説はこうでなくちゃいけない。真次郎と紗羅は外国に旅立ち、若様たちにもそれぞれの新しい道が目の前に。不安も恐れもない希望と祝福に満ちたラストに安心しました。……園山が無事に結婚生活を送れるのかどうかだけは心配だわ。2019/02/06
きょん
18
小泉家当主の反戦主義の賛同者を作るために若様たちに縁談が持ち込まれる展開が面白い。割と地味キャラの人達からご縁が決まっていきますが、長瀬さんや園さんはなかなか決まらないんですね。ミナや沙羅さんが帰国してからの話も読みたいな。2018/08/27
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