平安京はいらなかった - 古代の夢を喰らう中世

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平安京はいらなかった - 古代の夢を喰らう中世

  • 著者名:桃崎有一郎
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 吉川弘文館(2019/11発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
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  • ISBN:9784642058384

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内容説明

平安京は本当に必要だったのか―。朝廷の壮大な理念が優先され、住む側にとっては不便きわまりなかった都市。儀礼を演じる劇場として巨大化した“理想の都”は、ついに天皇でさえも空間を持てあまし、やがて縮小をくり返しながら中世京都へと脱皮していく。「使いにくさ」に目を向け平安京を捉え直した、“千年の都”の本質に迫る刺激的な一冊。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yukision

59
平安京が、まさか一度も図で見るような形で完成したことはなかったとは。大きすぎる大陸風の都は日本には合わず、結局実用性を追求し、自然に変容、縮小していった。確かに、朱雀大路は現代の都市部の幹線道路25車線分もいらない。必要以上に華美なもの、巨大なものより合理的なものを求める日本人の原点を見るようだった。天皇を「みかど」は「御門」、皇族は「宮」、大名は「殿」や「御屋形様」、僧侶は坊主(お坊様)という呼称は、畏れおおい貴人を直接呼ばず建物の名前で婉曲に呼ぶ風習による、など、トリビア的な内容も面白かった。2020/11/01

kokada_jnet

53
二冊目の単著で、初の一般向け書籍。桃崎有一郎による、刺激的な歴史書の連続刊行の快進撃は、この本から始まった。2021/04/28

Toska

37
タイトルそのまんま。平安京は必要なかった。それは中華帝国と張り合おうとした古代日本の為政者による誇大妄想的な白昼夢の産物にすぎない。過剰に広く、費用対効果は最悪、使いにくく住み辛いハリボテの都。とりわけ右京のさびれっぷりは、かつてそこに住んでいた身としては涙を禁じ得ない。古代人がもてあました欠陥首都・平安京がいかに中世都市・京都へ変貌を遂げていったか。若き著者の出世作にふさわしい筆の冴えを堪能できる。平安京論のみならず、日本社会の座標軸の中心たる天皇についての解説も必読。2024/09/28

ぽんすけ

31
先に桃崎先生の『「京都」の誕生 武士が造った戦乱の都』を読んでいたので平安京への先生のアプローチの仕方はわかっていたが、それでも一冊を通じて読むとやはり新しく知ったり納得する所があったりして面白かった。そもそも平安京は緊張状態にあった7世紀の国際関係に対応するために作られたもので、唐との対峙に備えて、皮肉ながらその唐の律令制に基づく中央集権を実現する道具であり、そのために豪族達を本拠地から切り離して自立性を奪い天皇の官僚へと転換させる装置だったというのだから大掛かりである。しかし舞台装置が大きすぎた。2025/02/05

六点

31
教科書に出ている「平安京」は一度も完成したことが無く、工事中の段階からもう「破壊」が始まっていたという驚きから始まる。古代の夢から醒め、中世に上京と下京に再配置されて行く事により「京の都」になった。「千年の都・京都」という読者の「京都幻想」を見事に破壊してくれる。しかし「首都」というものは多かれ少なかれ「見せつける」機能を今だに持っているのではないかと思う。現在の東京もワシントンDCも、パリも北京もそうだろう。「幻想」の中で我等も当時の人のように呻吟し暮らしている。この本で描かれた如く。2018/09/23

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