内容説明
民俗学とは何か。表題作ほか「国史と民俗学」「実験の史学」など学問実践の体系化を目指した論考によって「方法としての民俗学」を浮き彫りにする文庫オリジナル論集。折口信夫との対談、生涯と学問について語った「村の信仰」を併せて収める、柳田学入門の決定版。〈解説〉佐藤健二
【目次】
I 日本の民俗学
郷土研究ということ/日本の民俗学/Ethnologyとは何か/日本の民俗学/ 郷土研究の将来 /国史と民俗学/実験の史学/ 現代科学ということ/日本を知るために
Ⅱ 柳田国男・折口信夫対談
日本人の神と霊魂の観念そのほか
民俗学から民族学へ――日本民俗学の足跡を顧みて
Ⅲ 村の信仰――私の哲学
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
著者は民俗学を「実験の史学」と呼ぶ。書かれた資料をもとに国家とという想像上の枠組みを時間直線と平坦な同一空間 とし、権力側が主人公の闘争の物語を記した「国史」に対し、著者はそこから排除されながら国家の境界を形成する民衆の口承された多数の信仰・習慣からなるモザイク状ネットワークを「日本」と呼ぶ。折口信夫との対談を含む本書は、エスノロジー(民族学)の中で日本の民俗を扱う方向から民族の広がりを探究するこの仮説推論的学を科学として扱う場合、演繹的な折口や帰納的な柳田のアプローチ等複数の姿勢が可能であることを示す。2025/02/26
Autumn
1
全部を通しで読むものではない気がするので、一旦休憩。そもそもまだ知識が浅い人が読むものではなかった印象。 追々読み返そうと思う。
YN
0
柳田國男の時代から眺める日本の民俗学の状況について。フォークロアではなく、エスノロジーというかアンソロポロジー的なものを、学問として一つ柱を建てようとする雰囲気。前半も面白いが、折口信夫らとの鼎談も興味深い。2022/04/03