内容説明
『サピエンス全史』のユヴァル・ノア・ハラリ大絶賛!
「国家がいかに危機を乗り越えたか? 明快な筆致に引き込まれる。本書は、地球規模の危機に直面する全人類を救うかもしれない」
遠くない過去の人類史から
何を学び、どう将来の危機に備えるか?
ペリー来航で開国を迫られた日本、ソ連に侵攻されたフィンランド、軍事クーデターとピノチェトの独裁政権に苦しんだチリ、クーデター失敗と大量虐殺を経験したインドネシア、東西分断とナチスの負の遺産に向き合ったドイツ、白豪主義の放棄とナショナル・アイデンティティの危機に直面したオーストラリア、そして現在進行中の危機に直面するアメリカと日本・・・。
国家的危機に直面した各国国民は、いかにして変革を選び取り、繁栄への道を進むことができたのか『銃・病原菌・鉄』『文明崩壊』『昨日までの世界』で知られるジャレド・ダイアモンド博士が、世界7カ国の事例から、次の劇的変化を乗り越えるための叡智を解き明かす!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
234
危機を乗り越えようとする国家の対応を分析する本。近現代のいくつかの事例を取り上げて、取材に基づいて鋭い分析。12項目に分類して評価する。国家といっても様々だ。多様な民族を持つ国家ともほぼ単一の国家、強いナショナルアイデンティティを持つ国家とそうでない国、豊かな国と貧しい国、強国に国境を接する国と海に囲まれた国、政治が成熟した国とそうでない国。国外からも国内からも危機はやってくる。国情のまるで異なるフィンランド、チリ、明治日本、インドネシアを取り上げて冷静に比較検討した意欲作。2020/06/20
starbro
204
ジャレド・ダイアモンドは、新作中心に読んでいる作家です。上巻、一気読みです。フインランドの事例は知りませんでした。日本以上に危機的状況に陥った国は、結構あるんでしょうね。続いて下巻へ、トータルの感想は下巻読了後に。2019/12/11
molysk
82
原題は”UPHEAVAL: Turning Points for Nations in Crisis”であり、「国家の危機」が訳語としては近い。本書は、個人の危機と国家の危機を対比させて、危機の帰結を左右する要因を分析する。上巻で取り上げるのは、他国からの衝撃を受けた例として、ソ連侵攻を受けた冬戦争とその後のフィンランド、列強の脅威から西欧化を急いだ明治日本。また、国内の激変にさらされた例として、前政権の共産化への反動からピノチェト独裁を招いたチリ、共産勢力への対抗からスハルトの強権に陥ったインドネシア。2022/10/29
Koichiro Minematsu
68
危機(クライシス)の個人レベルと国家レベルとを対比させ過去の危機がどのような経過を辿ったのかその本質を見ていこうというダイアモンド教授の示唆に富んだ上巻であった。フィンランド、日本、チリ、インドネシアと。危機は境目であり大きな変化が起きる起点であることが分かる。そしてその要因が。コロナ禍にある今、世界的危機として考える機会となった。下巻にも期待。2021/01/14
獺祭魚の食客@鯨鯢
66
NHK番組でその視点が披歴されていました。 日本のワイドショーの無責任な焚き付けではない、自分事として述べる建設的な提言に好感が持てます。 日本人が持つ文化や伝統を拡げる努力をしてはどうか、70億人類の持続可能な世界のためには野生動物食など習慣を改める環境倫理が必要である、と。 過密な日本は自然と闘うのでなく共生する文化を育んできました。山川草木を愛おしむ気持ちはそれを神と崇め、荒ぶる風神雷神に恐れおののき、美しい風景を詩に詠みます。 「パンドラの匣」の底に残っていたのは「希望」でした。